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配信日:2023/06/13
部活研通信:指導現場に役立つ傷害予防について安全安心な子ども達のスポーツ実施に向けて
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2023.6.10 配信 Vol.91>
info@bukatsu-japan.com
https://bukatsu-japan.com
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6月は暑熱順化のために重要な時期です。熱中症になり難い身体を作るのはこの時期です。負荷のかかる運動を少しずつ。

それでは、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
そして、いつもの様に部員の心が変わるとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104
◎部活研Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCyk_TeDJ8rNeA4xTdqTuq2g
◎資格更新期限の変更について(2022.8)
https://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2022/10/05/165218
◎更新研修以外でのポイント取得について(2023.2)
https://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2023/03/06/120129
それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】8月研修会の参加者募集
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】公立学校の教員の兼職兼業
【6】登録指導者の学校現場へのご紹介のお知らせ
文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜運動技能学習の3段階〜
今回は、リハビリ医療の世界でも重視されている運動学で定義されている運動技能学習の3段階について簡単に解説してみたいと思います。

現状において出来ていない動作を出来るようにするためには、どんな過程があり、どんな方法で動作を習得に導くのか、この運動学ではまとめています。部活動の現場でも課題となる運動技能の指導のヒントとして、是非、参考にして欲しいと思います。

さて、以下が、運動学において定義されている運動技能学習の3段階ということになっています
1、認知段階
2、連合段階
3、自動化段階

この3つの区分けに沿って、新しい技術や動きを習得していくことが、合理的であり、効率的であるとされていて、まず、1つ目の「認知段階」でやるべきことから説明しています。

1,認知段階
この段階では、おおまかな運動のイメージを脳内に植え付けることが重要です。

言葉で指導するよりも、見本を見て何度も体験させること、つまり、選手自身が頭と身体の対話、修正を自らすることから始めることがポイントです。ですので、指導者としては、見守ることが大事になります。

指導者がアドバイスをするとすれば、その動作と似た平易な動作やよく知っているの動作に置き換えて、同じ動作を経験させることです。

2,連合段階
ここは、目的の動作のおおまかな習得が出来たという前提の段階です。
この段階の特徴は、「認知段階」とは違い、言葉を使って運動イメージのヒントを与えます。やはり、見よう見真似には限界があります。

主に小脳を使ってぼんやりと出来た動きのイメージを更に精度を上げるためには、少し理屈を交えながら、大脳皮質を使って修正をする必要が出てくるわけです。

ここでのポイントは、言葉による共通理解について、話し手が思っている以上に難しいことであるとの認識は非常に重要です。この認識が欠けると独りよがりの空回りの指導になってしまう恐れがあります。

そして、この「連合段階」では、指導者の問いかけに対して、本人の言葉による説明が出来るようになるのが上達の目安になり、運動学習が順調に進んでいる目安にもなります。

3,自動化段階
何も考えずに目的の動きを続けられる段階です。省エネかつ無意識にパフォーマンスが出せるということです。

この大脳レベルで感覚が磨かれていく段階では、練習目的を理論的に理解することが、パフォーマンスの向上にはっきり繋がってきます。
注意点として、この自動化段階に達した運動技能が、思うように発揮されないパターンがあります。
1,疲れが溜まっていたり、体力が尽きてしまうパターン。
2,現状の局面を難しいと感じてしまうパターン。

対処法としては、
1は、日頃の食生活の改善と体力向上のトレーニングを取り入れる。
疲れが溜まっていると、せっかく無意識に出来ている動きも出来なくなってしまうので、疲れが溜まらない身体を栄養面、体力面から考えて備える。
2は、培ってきた何らかの運動感覚を頼りに独自の意識ポイントを持つ。
意識を特定の動作ポイントに集中させて、その他を無意識下の動きに移行する。ボールの縫い目を見る感じとか、本人にしかわからないような独自の感覚を日頃の練習から大切にする。

終わりに、
運動技能学習の3段を説明しましたが、大事なことは、習得段階を整理することなのだと思います。

例えば、スポーツ指導をする際に言葉の説明はいらないとか、逆に言わないとわからないとか、様々意見はありますが、実はどちらも正解で、学習段階によって指導者がすべきことが違うということなのだと思います。

指導内容を、学習段階に応じて合理的に計画して、部活動の場が出来るだけ無駄なストレスから解放されることを願っています。

※参考:「運動学習はここまでわかった」関西医療大学 嘉戸 直樹
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkpt/8/0/8_0_49/_pdf/-char/ja


【2】部活News
○公立高部活動 例外措置に3条件 茨城県教委 新方針巡り個別審査
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16856257045518
(茨城新聞)

○小学校の先生が先生にサッカーを教える研修会って? 協会が全国に派遣、テキストも作成 積極性引き出す助言も
https://www.tokyo-np.co.jp/article/247341
(東京新聞)

○〈暴行容疑で書類送検〉バットで殴り、毎日のように暴力…センバツ出場当確 東海大菅生監督が部員への体罰で謹慎
https://bunshun.jp/articles/-/62050
(文春オンライン)

○中学生の保護者300人調査!部活動の地域移行「賛成の親」4割、残り6割の本音
先生の負担は知っているが親の負担増を懸念も
https://toyokeizai.net/articles/-/666564?fbclid=IwAR2BFvuAexA2FriDTK5ZYsjM1Gz7LxjOQLOk5cj-r-xYZumjOeJU2DiN5Tc
(東洋経済)

○神奈川の中学部活動も民間参入可能に メリットや課題は
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-983310.html
(神奈川新聞)

○学校の部活動を地域に移す改革が進行中──そのメリットやデメリット、あるべき姿などについてどう思いますか?
https://news.yahoo.co.jp/articles/a963b2c8a50695f13cd22e74241b9a4ca72a8660
(yahooニュース)

○ヤマダHD、部活動の地域移行を支援 現役選手らが指導、新事業始動へ
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/282591
(上毛放送)

○部活動の地域移行、高校でも模索
https://www.kyoiku-press.com/post-257769/
(日本教育新聞)


【3】8月の研修会のお知らせ
次回の研修会は8月20日13時からオンライン研修を予定をしております。
ライブ配信日に都合がつかない方々のために、オンライン研修後にアーカイブ受講が可能になりました。

日程:8 月 20 日(日) 13 時〜16 時
会場:オンライン会議システム「zoom」にて開催定員:100 名
参加費:3,000 円
「指導現場に役立つ傷害予防について安全安心な子ども達のスポーツ実施に向けて」
〜安全管理とコンディショニング〜
講師1:笠原 政志
国際武道大学体育学部教授
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー、日本ライフセービング協会BLSインストラクター 
高校まで野球部主将として野球に没頭し、大学からアスレティックトレーナーの研鑽を重ねる。専門分野はコンディショニング科学。
研究活動はアスリートの競技力向上とスポーツ傷害予防にかかわるコンディショニングに関する研究と実践。
著書「絶対に知っておきたい野球現場のファーストエイド」ベースボールマガジン社、「野球を科学する」 竹書房
NHKの健康チャンネルの講師担当
https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1364.html

<内容>
今回の研修は、「コンディショニング科学」がご専門で、スポーツをするうえでのケガや疲労のケアについて研究されておられる国際武道大学の笠原政志教授をお招きして開催します。
指導者は子ども達への最適な指導をするために、指導現場の安全管理とスポーツ活動実施に向けた準備と指導後のケアに関する情報に対してもアップデートしていく必要があります。
特に指導現場の安全管理としては緊急時対応計画(Emergency Action Plan :EAP)の作成と対応が、子ども達の充実した活動のための準備とケアとしてはウォームアップやリカバリーなどのコンディショニングが必要不可欠です。本講義では安全安心な子ども達のスポーツ実施に向けて指導者が知っておきたい緊急時対応計画(EAP)とコンディショニング方法について紹介します。
学生時代に野球部主将のご経験もあり、プレーヤーとしても指導者としても経験豊富な笠原先生の講習を日頃の指導に是非、お役立て下さい。

◆プログラム
13:00〜14:00「安全管理の実際」笠原 政志
14:00〜15:00「コンディショニングの実際」笠原 政志
15:00〜15:30 研究協議と意見交換
15:30〜16:00「学校教育の一環の部活動とは」 中屋 晋
参加費:3,000円

◆申し込みはこちらから
https://kokc.jp/e/9d5958ab6612d45aeee00e6eb1780e44/

◆オンライン研修後のアーカイブ受講について
申し込み:https://forms.gle/ANVXWjUKkSQzG3AH9
受講料:3,000円
視聴可能期間:アーカイブ動画公開日より2週間
部活動指導員検定の資格更新のための研修ポイントを取得するためには、アーカイブ動画公開日より1か月以内に400字以上のレポート提出が必要になります。
注)日本スポーツ協会の資格更新研修の対象外になりますのでご注意下さい。

※本研修は、部活動指導員検定の資格更新のための研修対象になっています。研修ポイント:1(指導分野専門科目)
※このオンライン研修の参加により、公益財団法人日本スポーツ協会公認スポーツ指導者資格の更新研修を修了したことになります。
※ご入金後のキャンセルは出来ませんので、ご注意下さい。
※ZOOMアクセス情報は、開催1週間前にメールで連絡します。


【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
5月13日(土)、6月18日(日)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
6月18日
■申し込み・詳細
https://kokc.jp/e/2e1dd1db8467c27432b061b23c641881/


【5】公立学校の教員の兼職兼業
令和3年2月17日に『「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の教師等の兼職兼業の取扱い等について』という通知が公布されましたが、この流れをのなか、現在、部活動の地域移行、展開への具体的な対応が、部活動改革の本格推進として始動し、全国各地で独自の政策が推し進められています。

ご承知の通り、「休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築すること」等の改革の方向性がここまで示されてきて、この方針に従って、休日に地域部活動の運営主体の下で指導を希望する教員は、基本的に服務を監督する教育委員会の兼職兼業の許可が必要となります。

・兼職兼業の許可基準
兼職兼業の許可の判断を行う際に留意すべき事項について、以下の条件が示されています。
1,学校運営に支障がないこと
2,学校や教師への信用を失墜させないこと
3,時間外労働と休日労働の合計時間が単月 100 時間未満,複数月平均 80 時間以内であること
4,運営主体が学校とは別に存在したとしても,その活動に係る教師の業務が実質的に、あたかも学校部活動の延長と判断されないこと

3についてですが、もともとの教育公務員特例法のなかの兼職兼業の規定には、ここにある労働時間の目安の記述はなく、これは、恐らく令和3年に厚労省が改定した「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をもとに作文されたものと思われます。
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000665413.pdf

私事で恐縮ですが、20年ほど前に公立高校の教員をしていた時に、教科書の編集に携わった時期があり、その際、兼職兼業届を提出した経験がありますが、労働時間の制約はなかったと記憶しています。

3と4の条件は、いわゆる看板の掛け替えで、兼職兼業が闇部活を助長するものにならないことを見据えて、学校の働き方改革の方向性を、ここで担保する建付けになっていると言えます。

懸念されるのは、現状でも時間外労働が月80時間を超える教員は多数存在するなか、現実的に兼職兼業の承認が困難になることはないのだろうかという点です。学校における労働時間だけでなく、地域団体の業務に従事する時間も通算した実働時間に配慮した部活動改革の視点が重要なポイントになると思います。

・教師が部活動指導員になる場合
もう1点、気になる内容として、教師が自校、他校の部活動指導員として,報酬を得ることについての規定がありました。

この様に教員が部活動指導員になり、報酬を得ることについては、部活動指導員の規定では想定外であり、「十分慎重に判断することが必要」と記載されています。

理由としては、以下の2点を挙げています。
1,給特法により教職調整額が支給されていることを踏まえると,部活動指導員として報酬を得て勤務することが給与面で適切であるかどうかという点
2,外形上,勤務の形態は全く変わっていないにもかかわらず,職務とそれに伴う職責が変わってしまい整理が困難であるという点

2の「職務とそれに伴う職責が変わってしまい」という点は理解できますが、1の「給特法により教職調整額が支給されていることを踏まえると」というところは、この教職調整額で部活動指導に関わる報酬について賄われているという理解なのでしょうか。

いずれにしても、教員が部活動指導員になる目的で兼職兼業を認めることは難しいとされています。2020年9月に示した文科省の方針では、「休日の部活動の指導を望まない教師が休日の部活動に従事しないこととする 」となっていますが、その一方で「部活動の指導を望む教師」の意をくんだ制度の整備も、今後重要なポイントになるでしょう。

※参考
「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革について」を受けた公立学校の
教師等の兼職兼業の取扱い等について
https://www.mext.go.jp/content/20221011-mxt_syoto01_01.pdf


【6】登録指導者の学校現場へのご紹介のお知らせ
4月から部活動の地域移行政策が動き始め、部活動の外部指導者の必要性が、今まで以上に高まっています。

当協会としては、今後も登録指導者の方々と学校現場の橋渡しのサポートを行って参ります。

部活動指導者としてのご紹介のパターンは、以下のパターンがあります。ご承知おき下さい。
1、国や自治体、中央競技団体から依頼があった場合。
2、国や自治体、中央競技団体から委託を受けた企業から依頼があった場合。
3、私立学校や民間団体、学校関係者から依頼があった場合。

何れの場合も、依頼元と登録情報を共有のうえ、条件に合った指導者の方にご連絡を差し上げるかたちになります。

依頼の連絡があった場合、承諾されるか否かについては、各々の判断になりますので、依頼元の団体から提示される採用条件などを十分検討のうえご判断下さい。

協会としては、出来るだけ多くの優秀な登録指導者の方々が、部活動指導の機会に恵まれますよう対応致します。

ご不明なことや採用について心配なことなどありましたら、協会の相談窓口までご相談ください。
info@bukatsu-japan.com


今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104
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