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配信日:2022/11/10
スポ協認定研修「全て指導者が負うのか。「法」が求める安全配慮義務と事故責任とは」他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.11.10 配信 Vol.84>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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3年生の担任は、推薦入学の書類作成に忙しい時期と思います。部活動についての記述は大きなアピールポイントの1つですね。

さて、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
12月の研修会の告知もあります。
そして、いつもの様に部員の心が変わるとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104
◎部活研Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCyk_TeDJ8rNeA4xTdqTuq2g
◎資格更新期限の変更について(2022.8)
https://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2022/10/05/165218

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】12月研修会「全て指導者が負うのか。「法」が求める安全配慮義務と事故責任とは」
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】指導現場で賠償責任を問われる行為とは
【6】日本部活動学会主催 第5回研究集会について
文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜ストレスはない方がいいのか〜
多くの人は「ストレスがなければ、どんなにハッピーな毎日が訪れることだろう」と思うことでしょう。

一見のどかで幸せいっぱいの情景、例えば、「アルプスの少女ハイジ」の舞台になるスイスの山岳地帯とか、のびのびしてストレス無縁の世界のような。

でも、実際は、スイスは梅雨もなく、春夏は気候が穏やかで過ごしやすい一方、冬はとても寒く厳しい環境に一変し、自然への備えのための負荷、ストレスは避けられません。

そもそも、「ストレスがない」ことが本当の幸せなのでしょうか。「ストレス=心労=自分を疲弊させる原因」だとしたら、ないほうが幸せのように思えます。

一般的に、より良く生きようと思うと現実とのギャップを感じます。それで何らかのストレスを感じるものです。反対に、「このままでいいんだ」と思うとこの落差はなくなるけれど、今度は生活の満足度が低くなってきます

つまり、満足度を得るためには、ストレスは必要で、そして、満足度を得たらストレスは消えていきます。実は、この循環があることで心が健康でいられるわけで、これはちょっとした衝撃にもグラつかずに生きていくうえでは大切なことなのです。

問題は、満足度が得られないまま、連続した過度なストレスによって、結果的に心の健康を阻害してしまうことです。

そうならないために、大切なことは、ストレスに対する安全弁を持つことです。その安全弁とは、心の疲労を感じること、そして、意識的に半ば強制的にでも休むこと、ある意味、課題を放り投げて休養を取ることなのです。

以前に見かけた国内調査で「達成感の高い人が心の面で健康」という報告がありました。「ストレスを避けなさい」というのは正しいことだと思います。でも、幸せ感を得るためには、安全弁を備えているという前提の適度なストレスは付きものだとも言えます。

何らかの満足度を求めて部活動をすることは、心の健康に非常に良いことだと思います。しかし、その前提には、自由に休養を取れる仕組みがあってこそ、適度なストレスが有効になると言えるのだと思います。

ストレスの効用について、更に言うと成長という側面でも、適度なストレスは有効に作用することも忘れてはならないことでしょう。

部活動をストレスと感じている生徒が、もしいるなら、一度ストレスについて、話し合うと良いかも知れないですね。


【2】部活News
○部活の指導を民間へ…来年度から始まる「地域移行」 先生たちの負担は本当に減るのか
https://373news.com/_news/storyid/164500/utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
(南日本新聞)

○運動部活動の地域移行 81億7700万円を計上〜スポーツ庁2023年度予算
https://www.kknews.co.jp/post_health/20220919_1c
(教育家庭新聞)

○教員に残業代支払わない法律「抜本的見直し」求める署名6万筆、現職教員らが自民党に提出。「定額手当の増額を検討」と文科部会長
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_635a1228e4b01c1b94e25af9?d_id=5073106
(HUFFPOST)

○部活は教員ではなくスポーツクラブのコーチも指導 三重・四日市市で段階的に「地域移行」
https://news.yahoo.co.jp/articles/a79c599ed979ff5ea84c16229071776361db7ae7
(三重テレビ放送)

○部員ゼロの野球部監督に元プロ選手 高校球児に見せたい景色とは
https://share.smartnews.com/nCKVp
(毎日新聞)

○部活の先輩に試合で勝って嫌われた? 接し方に悩む高校生にアドバイス
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/9219?device=smartphone
(高校生新聞)

○スポーツ推薦で入学したけど部活がつらい…失われたやる気の取り戻し方は
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/9272?device=smartphone
(高校生新聞)

○眉毛そったら中体連に出られない 「懲罰的」な校則の理由は?
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1001898/
(西日本新聞)


【3】次回研修会の「部活中の事故責任は全て指導者が負うのか」(日本スポーツ協会認定研修)
日時:12月4日 13時〜16時
講師:日野一男
実践女子大・短期大学部 名誉教授
日本ハラスメント&リスクマネジメント研究所 代表
著書 「学校事故から子どもを守るー判例に学ぶ教師の実践マニュアルー」 健康双書「夏場のスポーツ事故を防ぐ」 大修館書店

・テーマ「万一のために知っておきたいリスク管理とパフォーマン向上の両立について」
〜全て指導者が負うのか。「法」が求める安全配慮義務と事故責任とは、〜
・内容
今回の研修は、指導者が賠償責任を問われる事例を参考に、法の求める安全確保責任や、生徒から信頼される指導者像とはを探ります。
スポーツ指導に限らず全ての指導現場に潜む意外なリスクに気づき、日頃より対処することは大切です。
安全にコーチ・指導を行ううえで、具体的に危険な状況とその存在を知り、リスク管理とパフォーマンス向上を両立するための方法を勉強したいと思います。
更に、万が一、事故が起きた場合にその適切な対処の方法を過去の出来るだけ多くの判例からお伝え出来ればと思います。
法律論を含め、指導者として知るべき総合的な話を伺える貴重な機会になります。
もしものためのリスク管理にお役立て下さい。
◆プログラム(オンライン形式)
13:00〜14:00「知っておきたい指導者が賠償責任を問われる事例」日野一男
14:00〜15:00「リスク管理とパフォーマン向上の両立について」日野一男
15:00〜15:30「部活動地域移行の今後について」 中屋 晋
15:30〜16:00 研究協議と意見交換
参加費:3000円

◆申し込みはこちらから
https://kokc.jp/e/9d5958ab6612d45aeee00e6eb1780e44/

※ご入金後のキャンセルは出来ませんので、ご注意下さい。
※ZOOMアクセス情報は、開催1週間前にメールで連絡します。
※研修ポイント:1(指導分野専門科目) 
※日本スポーツ協会の公認研修に指定されています。


【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
11月12日(土)、12月11日(日)、1月14日(土)、2月12日(日)、3月18日(土)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
12月17日(土)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/


【5】指導現場で賠償責任を問われる行為とは
「違法性の阻却」という言葉をご存知でしょうか。私は、2年前にリスクマネジメントの講習会で勉強するまで、正確な認識がありませんでした。

この「違法性の阻却」は、損害賠償責任について議論をするなかで、使われる用語とのことでした。賠償責任を問われるような行為について、その違法性を否定することを「違法性の阻却」というようです。

部活動の指導に当たる者としては、日頃から「違法性の阻却」をするに足る事由を持ち合わせて、指導に当たっているかは、再確認が必要です。

例えば、練習中に剣道のツキが相手の喉を突いてしまい、大怪我を負わせてしまった場合その責任はどこまで負わなければならないのか。

この講習では、こう説明していました。そのスポーツをするために予測できる危険、内在する危険の域を越えているかどうが問題だと。

つまり、剣道で相手と対戦する時にツキは、一つの技であり、その技を使った結果、相手に怪我を負わせた場合、加害者は刑事上も民事上も責任を負う事象とは認められない。これが違法性の阻却に当たるわけです。

どういうことかとうと、その行為をその都度罰していたら、そもそもそのスポーツが成立しなくなってしまうといことです。言い換えれば、その事を双方承知のうえでそのスポーツを行っているという解釈です。内在する危険性の域を越えないということが違法性を否定する事由になります。

ただ、ここで大事なのは、段階を追ってルールに則って安全確保を行ったという大前提を忘れてはならないのです。指導者はここを確実に押さえておかないと違法性の阻却をすることが出来ないということになります。

この行為に至るまで、段階を追わず、ルールを逸脱し、安全確保がなされていない場合は、内在する危険の域を越えてしまっていると判断され、加害者、もしくは指導者も損害賠償責任を負うことになります。

指導者として、安全確保の意識は日々常に油断なく行われなけばないらいのですが、そのことが、まさしく違法性の阻却に繋がるのです。スポーツをするうえで危険と隣り合わせでいること自体は避けられない現実があります。しかし、その危険に対してその時々に応じて備えているかどうか、そこは再認識する必要があるでしょう。

この講習会の講師は、実践女子大学短期大学部 名誉教授の日野一男先生でした。日野先生は、スポーツ法学会の役員を務められた経歴もあり、学識経験者として学校事故弁護団に関わる等、実際に多くの学校事故の問題と向き合って来られた方です。

私自身は、この講習を受けることでリスクマネージメントについて意識を新たにすることが出来ました。日野先生の話は具体的な事例を豊富に盛り込みながら、難しい法的解釈を論理的に明確に説明しておられ、たいへん勉強になりました。

12月の研修会では、日野先生を講師にお招きして、リスクマネジメントについて、そして、そしてリスクマネジメントを睨みながらパフォーマンスを上げる指導について、お話を頂きます。

◆参加申し込みは、こちらから
https://kokc.jp/e/9d5958ab6612d45aeee00e6eb1780e44/



【6】日本部活動学会主催 第5回研究集会について
◎開催の趣旨 『主権者教育と部活動の関係を探る』
最近、学校現場では校則の見直し・再検討のさざ波が広がってきています。子どもの権利条約に照らし合わせたときに未だに理不尽な校則も少なくなく、見直し・再検討の作業には生徒の声も反映させる学校が多いようです。この全国的な動きは社会的にも歓迎されるでしょう。そう考えたときに、部活動はどうでしょうか。多くの学校は部活動の予算を生徒会費から捻出しています。ですから部活動は生徒会活動の一環として捉えている学校が多いはずです。しかし、「ブラック部活動」の見直し・再検討に、当の生徒たちの声を反映させたでしょうか。ブラックには教師が負った側面と生徒が負った側面があったはずでした。

生徒会活動は生徒たちの自主的で主体的な関わりを基盤として、様々な社会経験を積ませる組織です。ですから部活動も、単に文芸活動やスポーツ活動を推進するだけではなく、また、大人が整えた環境で技術力、競技力、精神力といったことだけを鍛える場ではありません。組織づくり、組織運営、組織拡大、他の組織との連携と調和などを学習内容として、生徒の力を育む必要があり、自治活動やシティズンシップを育む教育的な側面を担っているのではないでしょうか。

今回の研究集会では、この部活動における自治活動やシティズンシップ教育に焦点をあてて、実践報告がなされます。先進的な実践報告から部活動の埋もれがちな可能性を探りたいと思います。と同時に、自治活動やシティズンシップ教育が拡大しない理由や、地域に移行・展開する部活動に自治活動やシティズンシップ教育を継承する方策について考えたいと思います。自治活動やシティズンシップ教育をくぐらせながら、生徒たちが自ら「ブラックさ」を自覚でき、声に出せるようになると期待しています。

〜プログラム〜 
【開会行事】12:30〜12:40   開会の挨拶 会長 神谷 拓   趣旨説明  実行委員長 堀江 なつ子
【基調報告】12:40〜13:10  「主権者教育に向けた部活動のあり方」(仮題)日本教育実践研究所 所長 長沼 豊 
【シンポジウム】14:10〜16:00  コーディネーター 神谷 拓   
1) 文化部の現場から 長野県立松本深志高校 林 直哉   
2) 運動部の現場から 駿河台大学/一般社団法人Moonlight Project  平野 和弘   
3) 地域の現場から  NPO 法人 日本地域部活動文化部推進本部(Pocca) 齊藤 勇
【閉会行事】16:00〜16:10   閉会の挨拶 副会長 中屋 晋
【情報交換会】17:00〜19:00イタリアンレストラン Barolo 会費:5,500円
◎参加費会員(一般):¥1,000会員(学生):無料非会員(一般):¥2,500非会員(学生):¥500

◎お申し込み
https://kokc.jp/e/cf6fac8cb6567fc67b3dbcc66db36e61/

今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

◎「部活研通信」バックナンバーはこちら
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□発行 一般社団法人 日本部活指導研究協会
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