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配信日:2022/09/10
部活研通信:部員の心が変わるとっておきの話他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.9.10 配信 Vol.82>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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まだまだ、残暑が厳しいところもあるようですが、少しずつ秋に近づいている気配は感じます。学校では、行事が多く予定されている季節になりますね。

さて、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
資格更新期限の変更について重要な告知があります。ご確認下さい。
部員の心が変わるとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104
◎部活研Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCyk_TeDJ8rNeA4xTdqTuq2g

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】次回研修会の(仮)「事故責任は全て指導者が負うのか」の予告
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】資格更新期限の変更について
【6】「部活動のあり方を考える研究集会」に参加して

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜部活動と共有地の悲劇〜

経済学で定義された社会モデルの1つとして「共有地の悲劇」というのがあります。簡単に言うと、多くの人の利己的な行動によって共有資源が枯渇する現象です。

例えば、山林や漁場などの共有地において、各自が適量を採取すれば存続できる資源も、自己利益のために濫伐・乱獲行為が横行することで枯渇し、共有地全体の荒廃を招く、この考えを「共有地の悲劇」と定義しています。

自主的自発的な意思、つまり自由意思をもとに行う部活動も、ある意味、共有地と同じ認識と言える空間のような気がします。

やはり、誰が管理してるかわからない共有地は荒れていくのは当たり前で、考えるに、ここに行きついてしまった場合、ポイントはルール整備ではないか。つまり、部活動においては、学習指導要領等での規定の整備がなのでしょう。

この「共有地の悲劇」を招いてしまった場合は、ルール整備が必要になってきますが、「共有地の悲劇」を招く前に必要なことは何か。

それは、全体の利益を考える当事者意識なのだと思います。自主的自発的な意思で集まった集団の部活動を支えるものは、自由な空間をどう維持していくか。実は、自由とははかないものなのです。

だからこそ、部活動の場を利用して、自分の立場に有利な方向に展開しようという自分勝手な行動が、一番問題なのです。各自がこの自由な空間を守るために何をすべきかを考えて、各自が当事者意識を明確に持って行動することが、共有地をいつまでも自由に使える術なだと思うのです。

必要以上に厳しい管理は、当事者意識の欠如から生まれてしまうという考えもあります。各自が最終決定者である自覚こそ、当事者意識です。部活動で、最も生徒に学んで欲しいことは、ここの様な気がします。


【2】部活News
○中学校の部活動、スポーツクラブへの移行が家計に与える影響は?
https://financial-field.com/living/entry-157472
(ファイナンシャルフィールド)

○平野啓一郎氏、長時間の部活動への疑問浮上に「35年経ってようやく一般常識になろうとしている」
https://hochi.news/articles/20220902-OHT1T51103.html
(スポーツ報知)

○室伏広治長官「部活は毎日やらなくていい」 中学校4割で上限超え
https://mainichi.jp/articles/20220901/k00/00m/050/182000c
(毎日新聞)

○教員の残業代訴訟「無賃労働で恩恵を授かっている人は誰ですか」原告が訴え 控訴棄却
https://www.bengo4.com/c_5/n_14908/
(弁護士ドットコムNEWS)

○授業が終わったら部活のために違う学校へ? 大阪・吉村知事が「複数校1部活制」提案
https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_16178.html
(ABCニュース)

○“部活動の地域移行”は教師の負担軽減につながる? そこには課題も
https://s.mxtv.jp/tokyomxplus/mx/article/202208220650/detail/
(TOKYO MX)

○【やりがい搾取!?】公立学校教員で部活動顧問の指導料をプロコーチ報酬として試算してみた!
https://financial-field.com/income/entry-155397
(ファイナンシャルフィールド)

○巨人・坂本勇人らを育てたコワモテ監督が勝利至上主義からの脱却「選手の舞台を自分が奪ってしまっていた」
https://sportiva.shueisha.co.jp/smart/clm/baseball/hs_other/2022/08/17/post_74/
(Sportiva)

○「中体連は全国大会に反対するために作られた組織なんですよ」ブラック部活を生む“全中”は廃止できるのか 70年間で中体連の方針が「真逆」になった理由
https://bunshun.jp/articles/-/56414
(文春オンライン)

○先生が部活を見なくなる? 間もなく始まる改革 「地域」に子供たちを指導できるのか
https://onl.la/Meevata
(毎日新聞)

【3】次回研修会の(仮)「事故責任は全て指導者が負うのか」の予告
日程:12月28日(日) 13時〜16時
会場:オンライン会議システム「zoom」にて開催
講師1:日本ハラスメント&リスクマネジメント研究所 代表 日野一男
講師2:日本部活動学会副会長 中屋 晋 
定員:100名
参加費:3000円
※ご入金後のキャンセルは出来ませんので、ご注意下さい。
※ZOOMアクセス情報は、開催1週間前にメールで連絡します。
※研修ポイント:1(指導分野専門科目) 


【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
9月10日(土)、10月16日(日)、11月12日(土)、12月11日(日)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
9月25日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/



【5】資格更新期限の変更について
■資格更新期限につきまして、合格認定日から2年間でしたが、この度3年間に期限を延長することと致しました。
従って、本規定の変更により、現在資格を保有されている方から以降、本協会指定の研修を3年間に3回以上の受講(研修ポイント3を取得)することが資格更新のための必要条件となります。
■ポイント取得状況については、毎月配信されているメールマガジンで通知を行っておりますので、ご確認下さい。ポイント取得状況がわからない方は、協会事務局に問い合わせ下さい。info@bukatsu-japan.com



【6】「部活動のあり方を考える研究集会」に参加して
7月23日に日本教育実践研究所主催の「部活動のあり方を考える研究集会」に参加しました。
話し手は、元学習院大学教授の長沼豊先生で、現在は長野県の大日向中学校の校長として教育実践をされておられます。

◆「スポーツ庁の0606運動部活動地域移行提言を読み解く」というテーマ
今回のテーマは、
「スポーツ庁の0606運動部活動地域移行提言を読み解く」
ということで、6月に示されたスポーツ庁の提言を確認していくという会でした。

まず、長沼先生の本提言に対する印象として、大変よく考えれていて、概ね方向性に異論はないとう発言が冒頭にあり、特に地域展開、全員顧問制の廃止の方向性は、長沼先生が主張してきた事で、ほぼ予想通りに計画が進んでいると感想を述べておられました。

そして、とかくクローズアップされがちな教員の働き方改革だけじゃなく、部活動自体が、今後加速する少子化により成り立たなくなることは、念頭に置いて考える必要があるとも述べておられました。

つまり、昭和の時代の部活動では、どうにも立ち行かない現実があり、根本的な部分から意識を変える必要があるわけです。

◆学習指導要領の記述から部活動が削除される
そう遠いことではなく、学習指導要領の記述から部活動が削除されることは予想されます。学校から部活動が、離れることについて長沼先生は、学校から部活動が離れることで、今までの学校部活動としてのスポーツ活動、文化活動が、生徒の個々の将来に渡って関わる活動になるので、長い目でみればメリットが大きいとのこと。

まさに、学校部活動で「引退」と言われるなぞの儀式自体がなくなるということで、生涯学習の観点から卒業後も地域との関わり持つことに繋がり、社会教育のテコ入れには重要な役割を果たすものになるでしょう。

そのためにも、教育委員会に加え、自治体も含めて、部活動を街づくりの一環として位置づけて、部活動の地域移行に取り組む必要性があるのです。長沼先生も、街づくりとして行政も自ら音頭を取って部活動の地域展開を進めるべきだと主張しておられました。

◆指導者派遣の問題
やはり、この地域展開を進めるうえ越えなければならないいくつかのハードルがあります。その1つが、指導者派遣の問題です。特に人材不足は深刻な問題です。

この点について、長沼先生は、10年のスパンで指導者を育てるべきだと述べています。そして、10年経てば、育った生徒が指導者となり戻ってくるという好循環が生まれるとのこと。

ここで必要になるのが、中央競技団体の努力になってきます。当然、努力を怠れば競技人口の減少は避けられないわけで、地域の運営だけに押し付けるのはなく、積極的に主体的に仕組み作りに参加すべきと指摘を加えておられました。

また、仕組みの改善として、中体連、高体連が学校単位での参加のかたちを変えることは、既に動きはあるものの、今後の地域移行には、必須条件となることは間違いありません。つまり、学校単位から地域単位への参加が認められる競技大会についての準備が急務なわけです。

◆費用の面について
また、費用の面についても言及がありました。基本的には、今までの教員のただ働きが異常な状態だったことを考えると、ある程度の保護者の費用負担はやむを得ないだろうとのこと。経済的状況による特別措置の必要はありますが、ほぼ無報酬で責任と役割を押し付ける制度を、変える方向は避けられないでしょう。

そのうえで、必要になるのがNPO団体による資金調達です。この点は、長沼先生も強調されておられました。学校から部活動が離れる前提で、指導者は、教員以外の指導者が増え、ゆくゆくは教員の指導者は、かなり少なくなると、長沼先生は予想されています。

つまり、「部活をしたいから教員になった」という教員は、学習指導要領から部活動が削除され、学校から部活動が離れることで、時間とともに数は減っていくと予想されておられました。

ということは、指導報酬は、学校教育としてというより、社会教育に対するものとして支払われるようになると考えるべきでしょう。しばらくは、学校との連携が中心になると思いますが、徐々に社会教育の出番ということになるはずです。もしろん、財源についても、文科省中心から他の省庁を巻き込んだ展開も視野にはいると考えます。

◆競技毎に拠点校作り
最後に、拠点校方式について説明がありました。拠点校方式とは、例えば、サッカー部はA校、野球部はB校という具合に競技毎に拠点校を作り、学校の所属の垣根を越えて部活動に参加する方式です。この方式には、競技別の他に、目的別の拠点校の設定も想定されています。

実は、多くの中央競技団体の運営は、学校の先生方への動員で成り立っています。忙しい教員の休日を利用することも多く、学校教育活動を圧迫している大きな要素であることは間違いないでしょう。これも教員の厚意の上に成り立ってきた制度です。

拠点校方式を採用することで、中央競技団体の運営そのものを根本的に見直す機会となって欲しいと思っています。

部活動改革は、日本のスポーツ、文化活動の整備を睨んだものですが、未来の学校教育の担い手を確保する活動でもあると思っています。何でもかんでも教員に押し付け、一部の教員の不祥事で批判に晒され、辛いことばかりの教員へのなり手が年々減っています。日本の明るい未来のためにも、教育リソースをしっかり確保する体制を期待します。

本研究集会の参加は、たいへん有意義なものでした。


今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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