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配信日:2022/05/10
部活研通信:海外のコロナ禍のクラブ、学校の活動についてのレポート他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.5.10 配信 Vol.78>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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防衛予算の基本枠を約5兆円から約10兆円に拡大する方針が話題になっています。
未来の投資とも言える教育関連予算の現状の約5兆円はどうなるのでしょう。気になります。

さて、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話、連載「カナダトロントの部活事情」では、番外編で「海外のコロナ禍における部活事情」のレポートです。

☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104
◎部活研Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCyk_TeDJ8rNeA4xTdqTuq2g

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】部活動指導員が組織する職能団体とは
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】海外のコロナ禍の中でのクラブ、学校の活動について(鈴木典子)

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜望んでいる未来を確認する〜
生徒のためを思って様々アドバイスや指示をしても、どうも上手く伝わらいないと感じている指導者の方は、意外と多いのではないでしょうか。

時には、顔つきや態度に反抗的な雰囲気ややる気のない雰囲気が出て、それを注意して余計に関係が悪くなり、そうなると練習の効率も悪くなって、変な悪循環に陥ったりします。

生徒も正しいことだとわかっていながら、素直に受け入れられないと感じているのではないでしょうか。ある意味では、思春期には自我が芽生えて精神的な不安定になってしまうという考え方もあるかも知れません。

ここで、指導者として確認して欲しいことがあります。指導者自身が望んでいる未来と生徒が望んでいる未来が一致しているかどうかを確認してみて欲しいのです。

最も良くないのは、お互いの望んでいる未来にギャップがあることです。このギャップに対して、指導者の機嫌を損ねないように我慢する生徒、嫌なことは嫌と表情に出る生徒、様々います。

例えば、指導者が、「全国大会に出場して欲しい」と思っているの対して、生徒は、「楽しければいい」と思っているのに、無理やり「せっかく地区大会で勝てたのだから」と練習時間を増やしたり、厳しい練習を課したりすれば、生徒の気持ちが離れていくのは目に見えています。

気をつけなければいけないのは、強引に目標を与えてしまうことです。まずは、生徒に「どんな未来を実現したいのか」という未来のイメージに耳を傾けることです。

ゴルフの世界的有名選手は「目標はいつも自分の中から生まれてくるべきなんだ」といっています。誰かが作った目標では、主体的な行動は生まれにくいものです。

目標と同じように、指導者が「これをしなさい」と指示や命令をするよりも、自分の中から生まれてきた考えは、やる気につながりますし、行動も続きやすくなります。

仮に、生徒の口から「全国大会に出たい!」という目標が聞けたなら、「どうすれば?」という問いかけをして、アイデアを引き出すと良いでしょう。そうなると「技術を高めたい」「体力をつけたい」「集中して練習したい」等々の目標が出てきます。

その目標に対して、指導者の立場での、効率的で的確なアドバイスが、生きてきます。どんなに素晴らしい指導法でも目標を押し付けられた生徒には、何も響かないし、効果もないのです。

指導法の普及より、すべきは、指導者の意識改革のための制度作りなのだと思っています。


【2】部活News
○教育は誰のため?考える好機 「野球のカリスマ監督」猿橋善宏さん
https://mainichi.jp/articles/20220504/k00/00m/050/123000c
(毎日新聞)

○子どものスポーツ 勝利至上主義は悪なのか
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH030O50T00C22A5000000/
(日本経済新聞)

○「成功例とみられるのは絶対におかしい」 小学生で全国Vの井上康生
https://news.yahoo.co.jp/articles/26e24676b4b885464d801cdd9e1d0f51fb9746ac
(朝日新聞)

○「指導者処分の可能性も」 秀岳館高サッカー部暴力問題 JFA専務理事、学校側聞き取り
https://kumanichi.com/articles/643899
(熊本日日新聞)

○秀岳館サッカー部もそうなのか…「体罰・暴力が必要派が5割」スポーツ界の"脳みそ筋肉"すぎる精神構造
https://news.nicovideo.jp/watch/nw10856529
(PRESIDENT online)

○教師の長時間労働…どうなる!?中学校の部活動 地域や民間に委ねる「地域移行」へ 現場を取材〈宮城〉
https://www.fnn.jp/articles/-/354344
(FNNニュース)

○「全員顧問」「全員加入」 教師と生徒悩ます部活の「当たり前」
https://mainichi.jp/articles/20220411/k00/00m/040/220000c
(毎日新聞)

○中学部活3年間で地域移行を提言 休日の指導、スポーツ庁会議
https://news.yahoo.co.jp/articles/0a79053fd84301ba6a1852fe5ef3e996ed30e33d
(教育業界ニュース)


○秀岳館高のサッカー部監督、続投に意欲…釈明動画は「部員4人と話し合って決めた」
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220506-OYT1T50095/
(読売新聞)



【3】部活動指導員が組織する職能団体とは
3月5日のシンポジウム「怒らない部活指導を考える」の冒頭、
「部活動指導者(教員と外部指導者)が組織としてまとまって「部活動」を運営することは可能なのか」について話をしてみました。

部活動改革のなかで、複合的に錯綜した問題を解決するためには、それぞれのセクションの小手先の改良ではなく、大きな仕組みのなかに主軸となる新たな機能を加える必要があるのではと考えます。

その仕組みの中心に、今までにないゲームチェンジャーとなり得る組織を置くことで、今まで、構造的に身動きが取れなかったことがスムーズに展開出来るのではと思っています。

新しい発想のきっかけになれば、以下の動画をご覧下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=T5JfLwQW52c&t=450s


【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
5/15、6/11
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
6月26日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/



【5】連載記事「カナダトロントの部活事情」〜番外編〜(鈴木典子)
〜日本とカナダ、異なる環境のなか3人の野球少年の母親が見たものは〜

・筆者より
私は2007年3月末から2016年1月まで約9年間、夫の赴任に伴いカナダのトロントで暮らした。日本の学齢で小4終了、小学校卒業、中学校卒業した時点で移転した3人の息子は、現地の公立学校の教育を受け、カナダと米国の大学に入学した。移転して家を決める前に野球チームを決めたほど野球バカの一家だが、東京の少年野球チームや中学の野球部での経験が、英語もろくにできない子供たちがスムーズに現地になじむ大きな力になってくれた。

一方、冬の寒さと降雪の厳しい現地では、野球は夏季限定のスポーツだが、そのことが逆に日本では経験できないようなスポーツや学校でのクラブ活動を経験することができた。今回、本メールマガジンで、カナダ・トロントの部活動事情をご紹介させていただけることとなった。10年以上前のことなので、現在はだいぶ変わっているかもしれないし、記憶が間違っていることもあると思うし、あくまで一保護者の狭い経験に基づくものであることは、あらかじめご理解いただきたい。

《コロナ禍の中でのクラブ、学校の活動について》
現在日本の学校では新学年が始まって1か月、ゴールデンウィークを経て運動会の準備に入っている時期と思われる。また、部活動については4月1日に発行された「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」の「5.学習指導等 (4)部活動」で「生徒の健康・安全を第一に考慮して、地域の感染状況に応じて実施内容や方法を工夫する」こととされ、「学校の全部を休業とする場合」は「自粛する」となっている。

各競技の都道府県大会、全国大会も感染対策を講じた上で開催されており、練習も試合もコロナ禍以前同様に行われているのだろう。そんな中で部活動や大会の参加者に感染のクラスターが発生し続けているようだ。

日本より早くマスク着用などの規制が緩和されたトロントではクラブ活動や学校の課外活動がどうなのか、また、クラスターの発生がどう扱われているのかを知人に聞いてみた。

トロントでは、政府および州政府による学校でのマスク着用義務や2mのソーシャル・ディスタンス規制は公共交通機関利用時だけを残して撤回されており、授業中、クラブ活動や課外活動での規制はない。昨年秋ごろまで中止になっていたスポーツ大会なども、ほぼコロナ禍前のように開催されているようだ。

知人である校長先生の話では、外部の大会に参加するために会場までバスで生徒を引率する際は、バスの中でのマスク着用を「推奨」し保護者・生徒に協力をお願いしているとのことだった。

一般市民について自主的なPCR検査は認められておらず、発症した場合に病院でのみ検査ができるようで、生徒が陽性になった場合の濃厚接触者は家族だけなので、クラスには影響は無いらしい。陽性者が出た場合はパブリックヘルス(日本で言う厚労省)に報告だけするそうだ。

現在は規制の緩いトロントでも、例えばオンタリオ州野球連盟では、昨年秋までは試合での盗塁を禁止して、牽制による選手(野手と走者)の接触を避けるような配慮が行われており、元々規制が緩いわけではないことを言い添えておく。

クラスターについては、そもそもトロントで報道されているのが入院患者数、重症者数、死亡者数で、感染者数についての報告はなく、政府も把握していないのではないだろうか。従って、学校や課外の活動でクラスターが発生してもそれが報道されることは無く、上記の通り同じ学校やクラスの生徒は濃厚接触者ではないため、陽性者が出たことについて他の保護者への連絡も無いようだ。

参考までにロイターのCOVID-19 Trackerというサイトのカナダのデータを見ると、5/6時点の新たな感染者数は4,133人(ピークの1/7が45000人弱)、新たな死者は50人(ピークの1/26が223人)となっている(注)。

参考までに、ドイツ在住の友人にクラブスポーツでのコロナ対応について聞いてみた。現在ドイツでは感染者数は毎日10万人〜30万人の間で推移しているそうだが、クラブ活動について4月以降はコロナ前とほとんど変わらない状態で行われているそうだ。

チームで感染者が出た場合も、濃厚接触者の規制がチーム内ではなくなっているため、大会は普通通りに行われ、チームも参加しているらしい。

一般の生活におけるマスク着用やソーシャル・ディスタンスの確保が、公共交通機関のような閉ざされた空間で不特定多数の人が一定の時間一緒に過ごす場所以外は「規制」ではなくなって、学校生活においても「推奨」「お願い」ベースになっていると考えられる。

ソーシャル・ディスタンスやマスク着用が無くなって子供同士や先生と子どもの接触が制限できないことから、一旦陽性者が発生したらクラスターが発生することも十分考えられるが、それは避けられないこと、誰にでもどの学校ででも起こりうることとして冷静に受け止められており、感染者や感染者家族への差別もないようだ。

一方で、マスク着用義務がなくなった学校に通学させるのは不安だと、休ませる保護者もいるそうで、自主的な防衛手段として登校しない選択肢もあるというのは、興味深い。

ちなみに、規制対象ではない商店での買い物については、8割程度の客がマスクを着用しているように見受けられると知人は言っており、トロントの一般市民は自主的に感染予防を心掛ける気風を持っている。そういえば、インフルエンザが流行る冬の時期には、咳やくしゃみはハンカチか袖で口を覆うようにと言う宣伝があちこちで見られ、市民もそう心掛けていたのを思い出した。

日本では学校の正課ではクラスターがほとんど起こらないのに部活動や大会では多く起こり報道されるが、学校や大会運営側がどう対応しているかは私にはよくわからない。多くの人数が参加して接触も多くなる部活動や大会を行う以上、多くの感染者が発生するリスクが授業などより高いのは当然のことだ。

規制内容、学校の対応、各自の受け止め方、政府の姿勢など、異なることは多いので一概に比較はできないが、参加する生徒や参加させる保護者の自己責任ととらえるカナダでは参加の有無を個々が判断できるが、管理者である学校や先生の責任を問いがちな日本は部員個々には部活動や大会への参加の有無を選ぶ自由がない、ということは言えるのではないだろうか。

注:https://graphics.reuters.com/world-coronavirus-trucker-and-maps/ja/countries-and-territories/canada/


※鈴木典子さんのブログです。
https://thegroupofeight.com/category/writers/%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%85%b8%e5%ad%90%e3%80%80noriko-suzuki/


今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
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