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配信日:2022/04/12
部活研通信:今までにないゲームチェンジャーとなり得る組織とは
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.4.10 配信 Vol.77>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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新年度が始まりましたね。出会いの季節でもあります。
出会いは、人生を大きく変えます。良き出会いを祈念します。

さて、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話、連載「カナダトロントの部活事情」では、カナダの学校内の体罰、セクハラの現状についてレポートもあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】共同研究「部活動指導員制度における研修の在り方に関する考察」報告
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】連載記事「カナダトロントの部活事情」(最終回:8)(鈴木典子)
【6】Youtubeチャンネルについて

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜細部に本質がある〜
練習中にコーチから、フォームについて細かいアドバイスをされた時、そんな細かいこと言われても試合中に意識出来ないから、意味がないと反発する選手がいました。

恐らく顕在意識でフォームを考えると、意識することは難しいのだと思います。つまり、自分でこうしようと思いながらやることは、かなり限定的で、そこを頼りにするのは現実的ではないでしょう。

大切なことは、潜在意識にどれだけ高度な動作を組み込むかです。まさに数ミリ単位の動きの違い、1000分の数秒単位のタイミングの違いを感じる研ぎ澄まされた感覚を育てることは可能なのだと思います。

そして、そのフォームを作る時のコツもあります。まず、見る視点を3つのカテゴリー分けることです。3つとは、「全体」、「部分」、「細部」です。具体的には、手本とするフォームの動画を繰り返し見る時に、「全体」、「部分」、「細部」と段階を追って見ていくことが重要です。

「全体」を繰り返し観察したら、特に手本となるフォームと大きな違いがある「部分」をフォーカスして見ます。更に「細部」まで観察します。実は、「細部」に本質が隠れているということは、よく言われます。

2021年東京オリンピックで銀メダルを取った日本女子バスケットボールチームのホーバス・トム監督がこんなことを言ってました。

「ガードをする時の足の角度、シュートのアーチの角度、3度、4度の差をこだわって、指示をしてきた。そのこだわりには、理論を積み重ねた根拠があった。」

「細部」の違いからその技術の本質に、気が付く喜びは、プレーのレベルを問わず、初心者でも追求する目安になると思います。それは、まさに技術を磨く喜びとも言えるでしょう。

指導者としては、そこに焦点をあてられることが、いい仕事の1つの目安になるかも知れません。どんなレベルでも同じですが、指導のポイントとしては、「潜在意識にどれだけ高度な動作を組み込むか」についてのモチベーションを作ることです。

【2】部活News
○部活動指導員とは?外部指導者との違いや資格を得るための方法を解説
https://lab.niken.jp/724/
(ニッケンサプリ)

○近江・山田の連投 もう一度問う、ここまで1人に負担かけてよいのか
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQ3Z7367Q3ZULZU00M.html
(朝日新聞)

○中高の「部活至上主義」がいまだ根強い深刻な実情
https://toyokeizai.net/articles/-/541746?ismmark=a
(東洋経済)

○浦和学院監督兼心理カウンセラー(31歳)が考える“叱り方わからない問題” 怒りを力に“変えられた”平野歩夢、しかし高校球児は…
https://number.bunshun.jp/articles/-/852441
(NumberWeb)

○山梨県、部活動でマスク着用を
https://news.yahoo.co.jp/articles/68ec62948edc2f527d9066c7fe5ff93fde6f9b60
(産経新聞)

○部活参加は自分の気持ち大切に 仮入部で情報収集 創部も考えてみて
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/665385
(北海道新聞)

○地域と連動する「部活動指導員」って? 硬式やクラブチームだけでない中学野球部のメリット
https://news.yahoo.co.jp/articles/5b1be983e11f4fee9379fa7ba57a8e1b0e52853b
(YahooNews)

○学校運動部活動指導士認定講習会2/13-15、即戦力指導員を養成
https://reseed.resemom.jp/article/2022/01/14/3124.html
(教育業界ニュース)



【3】共同研究「部活動指導員制度における研修の在り方に関する考察」報告
当協会が協力・後援をしています共同研究の経過報告が、先月の日本部活動学会第5回大会でなされました。
以下、筆頭の長瀬基延先生の報告です。

文部科学省概算要求の指導員等派遣事業資料によると「部活動指導員の想定人材」について、2021年までは「専門的知識・技能を有する人材」との記載であったが、2022年の資料には「教師に代わって顧問を担う人材」との記述が追記された。

文部科学省としては、部活動指導員の制度上可能な権限執行を促し、教師の働き方改革に繋げたいとの思惑が見て取れる。しかし、先行研究においては、過重な職務責任や業務量と報酬のミスマッチなどを理由に就任をためらう地域人材が存在することが報告されるなど(全国都道府県教育長協議会2020)、文部科学省が想定する人材を確保することは難しい現状があるといえる。

制度上可能な権限執行を促進する上で重要になるのが「部活動指導員に対する研修」である。部活動指導員研修は「省令」により、学校設置者及び学校に対して「任用前研修」及び「任用後の定期的な研修」を実施するよう法的に義務付けられている。

しかし、本研究での教育委員会への質問紙調査(有効回答率51.6%)では、「任用前研修」について、約半数の自治体でしか実施されていないという事実が明らかとなった。

実施されていない主な理由として「時間の確保が困難」「職務負担感が増し辞退者が出ないか不安」「受講者の多忙感への配慮」などが挙げられた。さらに、任用中の部活動指導員に対するインタビュー調査(n=7)において、「指導員に任せられている裁量が小さい」「学校や顧問にものが言いにくい」などの「職務上の自律」「意見の反映」を要望する声が挙がるなど「部活動指導員は学校職員である」との認識が不足している学校現場の実態も明らかとなった。

 調査結果を踏まえ「任用前研修の履行促進」「初任指導員研修の設計」「指導員研修の事業化」の必要性があり、これらを実現するためには、(1)研修方法をオンデマンド化すること、(2)半日程度の日程に凝集された研修とすること、(3)研修内容を優先度の高い6項目(制度概要、意義・位置づけ、服務、安全・障害予防、学校・顧問との連携、事故対応)に選定すること、(4)初任指導員への研修プログラムを構築すること、(5)学校現場において指導員と教職員を融合化すること、(6)指導員の職務上の自律に向けた年間計画を設計すること、(7)研修事業としての予算化・外部提携化を図ること、以上のような改善のための視点が考えられる。

 今後の研究で、これらの視点を踏まえて、具体的な改善策に対する提言を報告が出来ればと考えている。
文責:江南市立布袋中学校 長瀬基延


【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
4/16、5/15、6/11
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
6月26日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/



【5】連載記事「カナダトロントの部活事情」(最終回:8)(鈴木典子)
〜日本とカナダ、異なる環境のなか3人の野球少年の母親が見たものは〜
・筆者より
私は2007年3月末から2016年1月まで約9年間、夫の赴任に伴いカナダのトロントで暮らした。日本の学齢で小4終了、小学校卒業、中学校卒業した時点で移転した3人の息子は、現地の公立学校の教育を受け、カナダと米国の大学に入学した。移転して家を決める前に野球チームを決めたほど野球バカの一家だが、東京の少年野球チームや中学の野球部での経験が、英語もろくにできない子供たちがスムーズに現地になじむ大きな力になってくれた。

一方、冬の寒さと降雪の厳しい現地では、野球は夏季限定のスポーツだが、そのことが逆に日本では経験できないようなスポーツや学校でのクラブ活動を経験することができた。今回、本メールマガジンで、カナダ・トロントの部活動事情をご紹介させていただけることとなった。10年以上前のことなので、現在はだいぶ変わっているかもしれないし、記憶が間違っていることもあると思うし、あくまで一保護者の狭い経験に基づくものであることは、あらかじめご理解いただきたい。

カナダトロントの部活動事情(8)
《トロントの教員によるセクハラ、暴力、体罰などについて》
カナダのトロントの部活動について主に日本と違うところを紹介してきたが、質問をいただいたので、少し本題とはずれるが、トロントの教員によるセクハラ、暴力、体罰などについて書いてみる。私がトロントを離れてから丸6年が過ぎており、もしかしたら状況が変わっているかもしれないと思い、知り合いに紹介されたJET(注1)経験者の現役校長先生に伺ったことを中心にしている。

カナダでも学校でのセクハラ、いじめなどは発生し、話題になることがある(注2)。また、学校ではないが、国技であるアイスホッケーのコーチが選手に対して行ったセクハラは大きな問題となっている(注3)。
教師による生徒に対する事件としては、セクハラ、暴言、暴力が考えられる。これらの事件と社会の反応の日加の違いについては、その底には文化的な違いがあると言えそうだ。

一つはオンタリオの教員は物理的な力を行使することを「一切許されていない」ということだ。オンタリオの法律や教育委員会、オンタリオ・カレッジ・オブ・ティーチャーズ(OCAD、オンタリオ教員カレッジ 注4)などで非常に厳しく規制されている。カナダが舞台の小説「赤毛のアン」でアンが教師に罰として手の甲を鞭で打たれるシーンがあるが、英国式の厳しい体罰の習慣が教育の基礎だったのはカナダも日本も同じだったが、日本で体罰が「必要悪」で子供のために力で抑えることはやむを得ない時があると認識され続けたのに比べて、カナダでは許されないこととして認識されたのだろう。ただ、物理的な制圧の代わりに「暴言」や「無視」などの精神的な制圧方法が使われる場合はあるようだ。

また、カナダでは、保護者が、うちの子も悪かったと言うことはほぼ無い、という感じだろう。現状では保護者は常に子供の側に立っていて、学校や教員の立場を考えて行動するようなことは無いということも含め、上述の校長先生が日本の文化とは違うと明言していた。

日本では、学校が教育勅語により天皇から与えられる恩恵で、教員は「先生様」として尊敬されてきたからか、お上や学校には逆らわない方が良いという精神性からか、自分の子供の方が悪かったのではと言う保護者は珍しくないのではないだろうか。

更には、カナダは米国に近い「訴訟社会」で、弱い立場の者が相手を訴えることが比較的容易にできる。学校や教員への不満や苦情がある場合、生徒や保護者が教員や学校を訴えたり教育委員会に報告したりすることは良く行われるようで、上述の校長は、教員の生徒への「不当な/不用意な物理的対応」の訴えは「とてもよくある」と言っている。

訴えがあれば、校長は速やかに真剣に対応することが求められ、教員は組合が援助してくれるものの教育委員会やOCADに対して申し開きをしなければならず、一旦セクハラや暴力で訴えられれば、たとえそれが偽りであっても教員は解雇されてしまうことが多い。弱い立場の未成年を守るための制度や規制ではあるものの、保護者が子供が被害にあったと思うだけで、教員が生活も人生も失う可能性がある社会なのだ。

(注)
1. JETプログラム:「JETプログラムは主に海外の青年を招致し、地方自治体、教育委員会及び全国の小・中学校や高等学校で、国際交流の業務と外国語教育に携わることにより、地域レベルでの草の根の国際化を推進することを目的としています。」(http://jetprogramme.org/ja/about-jet/)ALT(外国語指導助手)などとして活動するために数年間訪日するプログラム。
2. 最近報道された教師によるセクハラ事件。トロント教育委員会に所属する学校での事例:
Former Toronto teacher arrested, charged in connection with sex assault investigation: police - Toronto | Globalnews.ca 
1. ホッケーコーチによるセクハラ事件。アイスホッケーは男女問わずほとんどの子供が幼少時からしているスポーツで、公的私的なクラブが多数存在する。以下の報道は未成年男子に対するコーチのセクハラと、未成年女子に対するコーチの暴言(パワハラ)を報じている。
Ontario hockey coach accused of sexually assaulting boy during lessons | CTV News
Girls hockey coach still on ice despite permanent suspension for punching threats | CBC News
1. Ontario College of Teachers。Home | Ontario College of Teachers (oct.ca) 教員認定、教育、規制などを管轄する独立機関。

※鈴木典子さんのブログです。
https://thegroupofeight.com/category/writers/%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%85%b8%e5%ad%90%e3%80%80noriko-suzuki/


【6】Youtubeチャンネルについて
3月5日のシンポジウム「怒らない部活指導を考える」の冒頭、代表中屋の挨拶動画をアップしました。

〜部活動指導者(教員と外部指導者)が組織としてまとまって「部活動」を運営することは可能なのか〜

部活動改革のなかで、複合的に錯綜した問題を解決するためには、それぞれのセクションの小手先の改良ではなく、大きな仕組みのなかに主軸となる新たな機能を加える必要があるのでは、
その仕組みの中心に、今までにないゲームチェンジャーとなり得る組織を置くことで、何が出来るようになるのでは、
今は、新しい発想のきっかけになれば、参考までにご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=T5JfLwQW52c&t=450s



今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

◎「部活研通信」バックナンバーはこちら
https://sv2.mgzn.jp/pub/mailList.php?cid=N906697

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□発行 一般社団法人 日本部活指導研究協会
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