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配信日:2022/02/10
部活研通信:対談<益子直美×長沼豊>「怒らない部活指導を考える」他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.2.10 配信 Vol.75>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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立春も過ぎ、春の声が聞こえてきました。学校では入試業務や新年度の準備が行われている頃ではないでしょうか。

さて、連載記事「カナダトロントの部活事情」も7回目です。今回は、カナダの文化部活動事情の紹介です。ご質問、ご感想を受付けています。

そして、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】対談イベント<長沼豊×益子直美>について
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】部活動指導員の人件費について
【6】新連載記事「カナダトロントの部活事情」(7)

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
「バラもスミレもタンポポもみんな綺麗な花が咲く」
これは、昔、教員だったころに、紙にメモして机の隅に貼っていた言葉です。

花は、根気よく水をあげ続ければ、咲く時期や咲き方はそれぞれでも、みんなちゃんと綺麗に咲くものだということです。

つい日々の生徒の変化を見ていると、目先の出来不出来に一喜一憂してしまう。

そんな時、机の隅のこのメモを眺めていました。そして、無駄にイライラしている気持ちを落ち着かせていました。

大人の勝手なペースにはめたり、勝手な理想にはめたり、本来持っている個々の花の個性を殺してしまって、それに気がつかない。よくあることです。

今、思うのは、人はいくつも蕾を持っているのだなあという事です。

人生っていろいろな花を順に1つ1つ咲かせていくことなのではないかと思うのです。

花は、どれも急に咲くことはないし、然るべき順序を経て来る日も来る日も諦めず栄養をあげていくことが大切なわけで。途中でお水をあげなくなると枯れてしまいます。

いろいろな恵みを得て花は咲きます。教育もその恵みの1つなのかも知れません。そう思って目の前のたくさんの蕾と向き合うつもりで、生徒と学校生活を送りたいと思っていました。

生徒それぞれ、小さい花、大きい花、可憐な花、慎ましい花、それぞれが持つ個の美しさをかたちにするために、部活動は、現在の学校において大きな役割を担っていると思います。大事なことはそれぞれの花には咲く時期があるということの認識を忘れないことではないかと思っています。

時折、昔の卒業生から活躍の便りをもらうとこの言葉を思い出します。
「バラもスミレもタンポポもみんな綺麗な花が咲く」

【2】部活News
○「作文の添削は労働ではない」"自主的行為"扱いされる公立学校教師の理不尽
https://president.jp/articles/-/53725
(President)

○部活動顧問の負担軽減を 全国初、教職員組合「アイリス」結成
https://www.chunichi.co.jp/article/403267
(中日新聞)

○香川県で新たに369人が感染 部活動でクラスターが発生〈新型コロナ〉
https://news.yahoo.co.jp/articles/d22b51157232e8077b5b1e8b8246379586bbb268
(瀬戸内海放送)

○スポーツ指導の暴力、今もはびこる 大阪・桜宮高バスケ部体罰問題9年
https://www.chunichi.co.jp/article/397739
(中日新聞)

○山口県で388人感染、2人死亡 柳井市内の学校部活動などでクラスター 29日新型コロナ
https://www.chugoku-np.co.jp/local/news/article.php?comment_id=828571&comment_sub_id=0&category_id=256
(中國新聞)

○千葉県内2人死亡、3745人感染 過去2番目の多さ 新規クラスターは11件、学校や医療機関で相次ぐ
https://www.chibanippo.co.jp/news/national/896493
(朝日新聞)

○神奈川県所管域で949人感染、1人死亡 大学運動部で27人クラスターも
https://news.yahoo.co.jp/articles/42451758a74ed7375fdaf6c014fad509174c8569
(神奈川新聞)



【3】対談イベント<長沼豊×益子直美>について
既に、参加申込みを受け付けており、たくさんの方々に応募頂きました。
参加者の皆さんには、長沼先生と益子さんの対談を通じて、新しい指導者像を考える会になると思います。

会場参加でも、オンライン参加でも、可能です。会場参加の場合は、定員がありますので、お早目にお申し込みを頂ければと思います。
日時:2022年3月5日 13:30〜17:00
場所:全水道会館(JR水道橋駅から徒歩3分)
イベント形式:対面方式&オンライン参加方式
テーマ「怒らない部活指導を考える」

間違えや思い違いを1人で修正することは難しい。

その時、「怒る」ことによる軌道修正にどれほどの効果があるのか。もしかしたら、感情的、身勝手な指導になっていないか。

単に伝統的な指導法を全否定するだけでは解決しない問題が、そこにある。

生徒自ら考え、本当に生徒の成長のためになる部活指導とは何かを考えます。

トップアスリート(益子直美)の貴重な実体験と研究者(長沼豊)の科学的視点から、新時代に相応しい価値観を持った新しい指導者像に迫ります。

講師:
・益子直美
元バレーボール全日本代表選手、日本バレーボール協会理事
2021年一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会 と言う名前の会社を設立。「監督が怒ってはいけない益子直美カップ」主催、スポーツキャスター・タレント・講演会活動等、多方面で活躍
・長沼豊
学習院大学文学部教授 2017年日本部活動学会を設立し初代会長に就任。文化庁「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」で委員・座長を務める。
著書「部活動の不思議を語り合おう」(ひつじ書房)

シンポジウムコーディネーター:
・朝日新聞スポーツ部記者 中小路徹

◎対面方式&オンライン参加方式のハイブリッド形式で開催致しますので、会場から遠い地域の方々にもご参加頂けます。お申込みは、会場参加かオンライン参加かを指定してお申込み下さい。
◎お申込みはこちらから
https://iil.la/dw1elsO
◎オンライン参加方式で申し込まれた方には、開催1週間前までにアクセス情報等注意事項の連絡を差し上げます。万が一連絡がない場合は、お手数ですがご一報頂ければと思います。
◎本研修は、部活動認定3科目のなかの「指導分野専門科目」に該当します。

※受講希望の方は画面下「お申し込み」をクリックして申込みフォーム画面から必要事項をご記入下さい。
※申し込みフォームでの英数字記号は、半角でご入力下さい。
※申込みの際、受付確認用のメールアドレス(携帯メール不可)をお知らせ下さい。

【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
2/11、3/13、4/16、5/15、6/11
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
3月27日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/


【5】部活動指導員の人件費について
平成30年度の文部科学省の部活動指導員配置促進事業、部活動指導員配置人数約7170人に対する予算請求額は15億円で、この15億円のなかから部活動指導員の指導料の三分の一を補助に充当するとしています。

この額から計算すると月額最大でも約53000円程度です。現実には、指導時間の上限もあるので月3万〜4万の指導料が現状です。到底生業として、成り立つ金額ではありません。

実は、この人件費確保の問題は、部活動指導員だけでなく同様に部活動指導をしている教員を含めた部活動指導者全体で考える必要があると考えています。つまり、同じ時間帯で同様に部活動指導をしている部活動指導員は、指導料が発生し、片や教員については勤務時間外の部活動指導業務に該当する手当てが規定されていません。

例えば、課外活動という位置づけの部活動が、勤務時間外まであり、いわゆる「超勤4項目」以外の教員の自発的勤務のなかで指導されている現状があります。この現状を考えると、制度として勤務時間の問題と、特に勤務手当ての問題は出口の見えない大きな問題に直面することになります。従って教員の給与体系から部活動指導に関する手当ては、切り離して考えざるを得ないのです。

部活動指導の実情は、教員にとっては、言わば自発的活動への自発的勤務による指導です。つまり、ある意味自然発生的な業務であり、行政の監督下に位置付けること自体が馴染まないのではないか。もちろん、制度としてインセンティブな勤務手当てを設定することも難しい状況にあります。このような点が公立学校の業務として部活動を位置付けることの難しさと考えられます。

今後、現在の教育効果を保ちながら部活動を維持していくとするならば、部活動を単純に学校から切り離すという発想ではなく、自治体、学校は、連携もしくは協力というかたちで学校教育に部活動を活用していくという発想が必要ではないでしょうか。

つまり、全国規模の管理組織による教員も含めた指導者の派遣、指導報酬の支払い、研修などを管理運営する組織体制の整備です。まさに、現在の部活動指導員制度を発展させ、このような抜本的な立て直し策を講じる時期が目の前に来ています。

【6】連載記事「カナダトロントの部活事情」(7)
〜日本とカナダ、異なる環境のなか3人の野球少年の母親が見たものは〜

・筆者より
私は2007年3月末から2016年1月まで約9年間、夫の赴任に伴いカナダのトロントで暮らした。日本の学齢で小4終了、小学校卒業、中学校卒業した時点で移転した3人の息子は、現地の公立学校の教育を受け、カナダと米国の大学に入学した。移転して家を決める前に野球チームを決めたほど野球バカの一家だが、東京の少年野球チームや中学の野球部での経験が、英語もろくにできない子供たちがスムーズに現地になじむ大きな力になってくれた。

 一方、冬の寒さと降雪の厳しい現地では、野球は夏季限定のスポーツだが、そのことが逆に日本では経験できないようなスポーツや学校でのクラブ活動を経験することができた。今回、本メールマガジンで、カナダ・トロントの部活動事情をご紹介させていただけることとなった。10年以上前のことなので、現在はだいぶ変わっているかもしれないし、記憶が間違っていることもあると思うし、あくまで一保護者の狭い経験に基づくものであることは、あらかじめご理解いただきたい。

カナダトロントの部活動事情(7)
《文科系の部活動について(高校レベル)》
我が家の息子たちはもっぱら高校ではスポーツ活動をしていたが、数少ない文科系の部活動の経験を紹介する。

日本の部活動と同じような活動は、クラブ(Club)と呼ばれ、化学、生物などの研究実験をするクラブや、ユダヤ人クラブ、アフリカ系学生クラブ、菓子クラブ(Baking)、エコロジーやメンタルヘルスなどのクラブ、芸術系で絵画、彫刻、写真、演劇、ダンス、器楽(オーケストラ、バンド等)、コーラスなどのクラブがほぼ常時開設されていた。

美術系・学科系は学期ごとの表彰式(成績、スポーツ、芸術などの活動に対しての表彰)と卒業式、保護者面談などの機会にロビーなどで研究結果や作品の展示が行われていた。器楽・声楽については、各学期末に音楽会が行われ、学年ごとの発表に加えて上記のクラブの発表もあった(例えば9年生の器楽発表の次にクラブ活動としてのオーケストラの演目があるなど)。

上記の発表やイベントを企画運営する生徒会や音楽委員会も「Club」として紹介されている。長男は音楽委員を何年も務め、器楽部としていくつかのプログラムに出演する一方で舞台設営や裏方もこなし、学期末や卒業式では音楽委員としての活動を認められて表彰されている。

また、次男はファッションショーに出演したが、これも実は「ファッションショー」というクラブだった。ハロウィーンなどのイベントを企画するクラブ、チャリティ活動をするクラブもあった(注1)。

複数の学校で行う大会のようなものはなかったと思う。あくまでクラブ活動は、授業の延長、課外活動として子供たちが好きなこと、関心があることを楽しみ、より深める場で、それぞれの専門の先生が顧問となって指導していた。特別な分野が得意な先生がいると、その時だけクラブができていた(例えばウクレレクラブなど)。
 
活動は主に昼休みで、朝、放課後も行われたが、通常は30分〜1時間程度、発表会の前には一旦帰宅してから夕方また学校に集合して準備したりしていたと記憶する。

それぞれの活動は放課後や学校外での活動については、課外活動の承諾書が出されることがあるが、学校での練習については特に保護者の承諾を求められた記憶はない。

そろいの衣装などは、白のトップに黒のスカートかパンツ、といったゆるい指定で、それぞれがあるものを使い、スカーフなどの小物は学科で引き継いで保管しているものを転用したり、材料を買ってきて得意な生徒が作ったりしていたようだ。楽器は原則として学校所有の授業で使用する物を使う。

ちなみに、学期ごとに器楽の授業を取る生徒は自分の楽器が決まり、1学期間それを使うため、自宅に持ち帰っても良いし、学校に置いたままにしておいても良い(音楽の単位として器楽、声楽のどちらかを選択する必要がある)。もちろん、自分の楽器を使いたい生徒は自宅から持参しても良い。

美術系も、学校にある画材などを使うが、紙粘土など特別な材料や自分が使いたい色の紙などを使用する場合は各自で購入して持ってくるように指示されていたが、経済的理由で調達できない生徒については支援があった気がする。

うちの長男は、転校してきたときに器楽の授業を取らなければならないと言われ、日本でリコーダーをやったと言ったところ、ではこれなら吹けるだろうとクラリネットを勧められ、はまってしまってマイクラリネットを購入するまでになったほどだ。

注1 トロント フォレストヒル高校の課外活動についてのウェブサイト:The Complete FHCI Club list 2017/18 | Golden Falcons
The Complete FHCI Club List 2017/18 | The Golden Falcon (fhcigoldenfalcon.com)

※鈴木典子さんのブログです。
https://thegroupofeight.com/category/writers/%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%85%b8%e5%ad%90%e3%80%80noriko-suzuki/
※本連載記事「カナダトロントの部活事情」についての、ご意見、ご感想、質問等は、info@bukatsu-japan.comまで、お待ちしております。


今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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□発行 一般社団法人 日本部活指導研究協会
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