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配信日:2022/01/19
部活研通信:対談<益子直美×長沼豊>「怒らない部活指導を考える」他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2022.1.18 配信 Vol.74>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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謹賀新年
学年末ですね。3年生は、それぞれの進路によって、過ごし方が違うと思いますが、高校生活最後の時間を大切にして欲しいですね。

さて、連載記事「カナダトロントの部活事情」も6回目です。今回は、保護者の負担に注目しての報告です。ご質問、ご感想を受付けています。

そして、いつもの通り、部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変わるとっておきの話
【2】部活News
【3】対談イベント<長沼豊×益子直美>について
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】日本部活動学会主催第4回研究集会の報告
【6】新連載記事「カナダトロントの部活事情」(6)

文責 中屋晋
☆::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
〜世阿弥の教え〜
年を重ねると、若い時に習得しておけばよかったと思うことが、ままあります。

10代の生徒たちに伝えたいこと、何かを習得するのためのエネルギーは、10年後に10倍、20年後には20倍、必要になるということ。

能力、社会的立場、経済的負担などの様々な状況の変化に伴って、10代の頃より何かをしようと思った時に、圧倒的に不利な条件が年々増えていくものです。

そんなことを思う時、いつも世阿弥の「風姿花伝」にあるこの言葉を思い出します。
「この花は誠の花にはあらず、ただ時分の花なり」

このなかの「時分の花」とは、若さであり、時とともになくなる才能のことです。「時分の花」を勘違いして、若い頃の美しさや力が永遠のものと奢る気持ちがなかなか見抜けないことこそ、若い時の落とし穴なのだと説いています。

飲み込みの早さで得意になったり、恵まれた容姿や家庭環境に自惚れたり、これは「時分の花」に踊らされているということで、時が経っても美しい花こそ「誠の花」であると世阿弥は言っています。

「時分の花」に心をいたずらに踊らされると「誠の花」から遠ざかる結果になり、それだけでなく本来持っている力を失うことになりかねないわけです。

大事なことは、本来持っている力を活かすべく、将来を見据えて謙虚に地道な取り組みを忘れないということなのだと思います。

世阿弥は、この言葉で、若さの素晴らしさだけではない、若さの恐しさを教えているのでしょう。

今回は、日々、自分の能力と向き合う生徒に知っておいて欲しい世阿弥の教えを紹介しました。

【2】部活News
○日本人がやりがちな「根性練習」「長時間練習」の大問題…バスケとラグビーで日本代表を勝たせた外国人“鬼コーチ”が語る
https://number.bunshun.jp/articles/-/851282?page=2
(Number)

○日本の部活改革で議論の的に 全米も悩む指導者コスト問題、誰が負担するべきか
https://the-ans.jp/column/209413/
(TheAnswer)

○部活全員加入校が97%だった岩手 「精神論ばかりが」ある母の嘆き
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPD44SR5P9XUTQP01J.html?s=09
(朝日新聞)

○DX化した野球、足し算に変えた柔道 コロナ禍を福に転じた部活動
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPD34GQ5PCWUTQP02X.html
(朝日新聞)

○大谷翔平の指導者が捨てた「常識」 才能をだめにしないロジックは
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPCJ7TXLPCBUPQJ00K.html?_requesturl=articles%2FASPCJ7TXLPCBUPQJ00K.html&pn=14
(朝日新聞)

○「怒ってばかりじゃいかんぞ」 松井秀喜育てた名将、再出発前の境地
https://www.asahi.com/sp/articles/ASPD26J63PBVUTQP012.html
(朝日新聞)

○先生も休みをしっかり 休日の部活は地域にお任せ 現場の模索始まる
https://www.asahi.com/articles/ASPD34HKFPD3UTQP001.html
(朝日新聞)



【3】対談イベント<長沼豊×益子直美>について
日時:2022年3月5日 13:30〜17:00
場所:全水道会館(JR水道橋駅から徒歩3分)
イベント形式:対面方式&オンライン参加方式
テーマ「怒らない部活指導を考える」

間違えや思い違いを1人で修正することは難しい。

その時、「怒る」ことによる軌道修正にどれほどの効果があるのか。もしかしたら、感情的、身勝手な指導になっていないか。

単に伝統的な指導法を全否定するだけでは解決しない問題が、そこにある。

生徒自ら考え、本当に生徒の成長のためになる部活指導とは何かを考えます。

トップアスリート(益子直美)の貴重な実体験と研究者(長沼豊)の科学的視点から、新時代に相応しい価値観を持った新しい指導者像に迫ります。

講師:
・益子直美
元バレーボール全日本代表選手、日本バレーボール協会理事
2021年一般社団法人 監督が怒ってはいけない大会 と言う名前の会社を設立。「監督が怒ってはいけない益子直美カップ」主催、スポーツキャスター・タレント・講演会活動等、多方面で活躍
・長沼豊
学習院大学文学部教授 2017年日本部活動学会を設立し初代会長に就任。文化庁「文化部活動の在り方に関する総合的なガイドライン作成検討会議」で委員・座長を務める。
著書「部活動の不思議を語り合おう」(ひつじ書房)

シンポジウムコーディネーター:
・朝日新聞スポーツ部記者 中小路徹

◎対面方式&オンライン参加方式のハイブリッド形式で開催致しますので、会場から遠い地域の方々にもご参加頂けます。お申込みは、会場参加かオンライン参加かを指定してお申込み下さい。
◎お申込みはこちらから
https://iil.la/dw1elsO
◎オンライン参加方式で申し込まれた方には、開催1週間前までにアクセス情報等注意事項の連絡を差し上げます。万が一連絡がない場合は、お手数ですがご一報頂ければと思います。
◎本研修は、部活動認定3科目のなかの「指導分野専門科目」に該当します。

※受講希望の方は画面下「お申し込み」をクリックして申込みフォーム画面から必要事項をご記入下さい。
※申し込みフォームでの英数字記号は、半角でご入力下さい。
※申込みの際、受付確認用のメールアドレス(携帯メール不可)をお知らせ下さい。

【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
1月15日(土)、2月11日(金)、3月13日(日)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
3月27日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/


【5】日本部活動学会主催第4回研究集会の報告
昨年、2021年12月18日に大阪体育大学におきまして、日本部活動学会主催第4回研究集会が開催されました。
テーマは、
「いま、求められる「部活動」のサポートとは? ―持続可能なマッチングを探る―」
その内容について、「基調報告」と「シンポジウム」のダイジェストにまとめました。

まず、会の冒頭に前会長の長沼豊先生(学習院大学)より、基調報告がありました。
〇長沼豊副会長より基調報告
・現状認識として、総合的に見て、学校外から学校中へのサポートは、教員の負担軽減のため、専門的な指導のためなど、いろいろ意味で意義があると考えている。
・問題は、サポート人材のミスマッチや人材がみつからないということ。
・ミスマッチの要因として、
 1、そもそも部活動そのものが、まだまだ適正化されておらず、 善意で成り立っているなどボランティア依存体質が残っている。
 2、部活動指導に対する契約の概念が乏しい。
(契約をするという発想にシフトしないと解決しない。)
・紀要第4号のアメリカの部活動についての報告は、次の点で興味深かった。
 1、課外活動より教育課程を優先することが前提であり、全員顧問制ではない。
 2,外部指導者は教員免許を持っていることを前提としている。
・外部指導者からの苦情にも耳を傾ける必要がある。
・部活動の最適化のためのポイント3つ。
 1、生徒の自治
 2、生徒・教員の荷重負担の解消
 3、大会・コンクールの根本的な見直し
・これからの展開として、改革は必要だが荒療治は禁物と考えている
・いずれにしても人材サポートシステムを確立する必要がある。
・餅は餅屋であり、やはり、その筋の専門家に任せることが大事。専門外の学校の先生に任せるのはやはり問題である。

続いて、以下のお三方の実践報告があり、その後のシンポジウムに議論を繋がっていきました。
1、民間企業→ ソフトテニス・オンラインスクールの運営にみるマッチングの工夫について、中村鉄太郎氏(株式会社GO代表取締役社長)より20分間の実践報告。
2、運動部→ 運動部活動改革プランの一つとして学生を指導者に養成するシステムを構築したが、その後の運用状況やマッチングを考慮した大阪府泉大津市教育委員会との取組みについて、小林博隆氏(大阪体育大学准教授)や比嘉靖氏(同大学准教授)らによる20分間の実践報告。
3、文化部→ 大阪国際滝井中・高等学校の吹奏楽部における活動課題について、朝倉洋氏(大阪国際学園芸術文化教育センター長)から20分間の実践報告。

○研究協議シンポジウム
今回のシンポジウムは、神谷拓氏(関西大学)の司会で、パネリストは、実践報告をされた中村鉄太郎氏、小林博隆氏、朝倉洋氏他が登壇されました。

以下、協議のダイジェストです。
司会:神谷拓会長(関西大学)

神谷:これから先の部活動指導の形態についてご意見を。
中村;地域スポーツクラブの大会と部活動の大会を合同で開ければと考えている。
小林;大学生との協働スタイルを展開出来れば考えている。
朝倉;現時点では、吹奏楽は地域のスポーツクラブ的な受け皿がないので、学校に対するサポートの充実を考えることしかない。
   
神谷:将来的なコストの問題をどう捉えるか。一つの部活で年100万円かかるという試算もあるが、どう思うか。
中村:スポーツ活動でも文化活動でも講習会にお金を払う文化を作るヒ必要がある。現状でも学習塾には年間100万を普通に払っているのだから。
小林:怪我等の対応として教育委員会で保険加入の手続きをしてもらうことは必要だが、その費用は別として無償でも指導に行きたいという学生はいる。
泉大津市教育委員会:指導報酬と保険の予算計上は厳しい。
朝倉:文科省が予算を計上をするのが基本では。文化部は、学校の施設を利用するしかないので、部員50人規模で年間350万円かかっている。民間では運営は難しい。

神谷:教育の部分についての指導者への取組について。
中村:教育についての理解は外部指導者だけの問題ではない気がする。
朝倉:外部指導者も基本的な学校教育についての理解はあると思う。
小林:授業セミナーを通して学校教育への理解は深めている。

神谷:学生の部活指導者の派遣は、目の届く範囲はどれくらいか。38名で対応としては適正人数か。
小林;今の人数で丁度うまく回っている。あとプラス10名はいける

神谷;学生を学校に送って、そのマッチングがうまく噛み合わないことはあるか。
小林:基本的に教育委員会と学校が採用なので、ミスマッチはない。顔で繋がっているので本音で情報交換ができている。基本的に必要な学生を要望してくれる。
神谷:実は人と人の繋がりがベースになってマッチングがうまくいっているケースが多い現状があるように感じる。
小林:今後、大阪体育大における部活指導者育成の講習の27コンテンツを公開する予定。各自治体の教育委員会とも共有し、将来的には全国展開に広げたい。

神谷:スポーツ、文化活動の部活動の通した横の繋がりを持とうとしているが、実際は取り組みとしては、結果的に地域毎に分断になっている。どう思う。
中村:学校という枠組みを全く無くすという発想も必要では。例えば部活動だけの学校があってもいい。

(フロアから)
大橋;権利負担の問題について。部活動は絶対に子供に必要だからということで、公費負担をそれぞれがするということも考えられる。

長瀬:現場の教員と外部指導員との意識の共有が難しいが。
小林:行政と連携して意識を変えていくしかない。
朝倉:地域に関わりたいという先生は意外と多いのでは。意見交換はできると思う。

森田:人材バンクがあるが、顔が見えない。これを解決する方策はあるのか。
朝倉:人材バンクの拡充は予算を増やすに限る。
小林:システムの中で誰が派遣されてもうまく機能するのが本来だと思う。学生の特性を活かすことがポイントだと思う。
中村:国家資格を視野に資格を考えるしかない。民間の指導者検定という取り組みもある。

<研究集会に参加して>
議論の基本は、合意形成を念頭に知恵を集めるところにあると考えています。この研究集会の議論が具体的な合意形成を至らないとしても、知識の共有は明らかに前進に繋ると感じました。

より良い状況を導くには、知ることをベースに動くことが重要で、閉塞したなかでの判断は一部の幸福感を増幅するだけの役割でしかないと理解しているのですが、その意味で、今回の研究集会は良質な学びの場になったことに満足しました。



【6】連載記事「カナダトロントの部活事情」(6)
〜日本とカナダ、異なる環境のなか3人の野球少年の母親が見たものは〜

・筆者より
私は2007年3月末から2016年1月まで約9年間、夫の赴任に伴いカナダのトロントで暮らした。日本の学齢で小4終了、小学校卒業、中学校卒業した時点で移転した3人の息子は、現地の公立学校の教育を受け、カナダと米国の大学に入学した。移転して家を決める前に野球チームを決めたほど野球バカの一家だが、東京の少年野球チームや中学の野球部での経験が、英語もろくにできない子供たちがスムーズに現地になじむ大きな力になってくれた。

 一方、冬の寒さと降雪の厳しい現地では、野球は夏季限定のスポーツだが、そのことが逆に日本では経験できないようなスポーツや学校でのクラブ活動を経験することができた。今回、本メールマガジンで、カナダ・トロントの部活動事情をご紹介させていただけることとなった。10年以上前のことなので、現在はだいぶ変わっているかもしれないし、記憶が間違っていることもあると思うし、あくまで一保護者の狭い経験に基づくものであることは、あらかじめご理解いただきたい。

カナダトロントの部活動事情(6)
《部活動にかかる費用について》
まずは一般的に教育にかかる費用についてから説明する。
我が家は駐在員家族ということで息子たちはトロント市民と同じ扱いで公立学校の学費は無料だった。教科書は個人持ちではなく、学校が所有しているものを使用する学期の間だけ貸与するシステムで、生徒が用意するのはノートかルーズリーフとバインダーだけだった。教科書に番号が振ってあって、自分の番号の教科書を使うようになっていたと思う。

予習復習や宿題をするために教科書は配付されたら自宅に持ち帰るが、うちの三男などは小学校の時は宿題は授業中に終わらせて(た、と言って)教科書は学校に置きっぱなしだったこともあった。

副教材やワークシートはプリントしたものが配られる。小学校では科目ごとにプリントを綴じる紙バインダーも配布されていた。中高の先生によっては、紙バインダーを何冊用意するようにと指定して、ファイリングの仕方を指導する先生もいた。

昼食は小学校から高校まで弁当持参で、教室内では食べてはいけない。高校にはカフェテリアがあり、そこで弁当を食べるほか、軽食、ソフトドリンクやクッキーなどが販売されていた。子どもたちはカフェは混むので廊下や校庭などで食べたり、弁当を持参せずに近所のコンビニ的な店に買いに行ったり、レストランや喫茶店に昼食を食べに行ったりしていた。

小学校では、ホームルームは昼休みは施錠されてしまうため、全員弁当を持って食堂や校庭、ロビーなどで食べることになる。高学年になって一人で出歩ける年齢になると、「昼休みに外にでかけることを許可しています」という保護者の承諾書を提出していれば、買いに行ったり食べてきたりすることも可能になる。

ランチの注文販売があり、4〜5種類の日替わりメニューが公開されて前の日までにオンラインで注文すれば、あたたかいパスタや寿司(北米で流行ったロール寿司だ)などが受け取れる。

子どもたちの学校では月に1回「ピザランチ」という日があって、全児童が1枚ずつ食べられるだけのピザを配達させて、食堂で先生も一緒に食べており、「じゃんけんで勝って2枚目を食べられた〜」などと嬉しそうに報告してくれたのを覚えている。

飲み物は水筒やペットボトルを持参することになっているが、学校内に自動販売機もおかれていた。ちなみに、小学校では2時間目と3時間目の間がおやつタイムで、数分で食べられるスナックを持参していた。

制度・法律的には、中学生は高校生と同じ行動ができる。我が家の学校は小学校と中学校が一緒になった学校だったので、中学生も小学生と同じ行動だったが、学校によっては中高が一緒になった学校もあり、その場合は中学生もカフェを利用したり外食したりしていたようだ。

課外活動については、最初に説明した通り活動への参加申込書兼承諾書に必要な費用が記載されていて、例えばクラスでミュージカルを観に行く場合はチケット代15ドルなどと記載されているので、学校宛に切った小切手を承諾書に合わせて学校に提出する仕組みだった(経済的な理由などで費用が払えない場合は優遇措置があると記載されていた記憶がある)。

その際公共交通機関を使用する場合は、小学校では交通費が支給されたと記憶する。トロントはバス・地下鉄・路面電車が全てTTCという会社に運営されていて一律料金だったため、小児料金の子供には回数券、大人料金の子供には回数券のような「トークン」と呼ばれるコインを渡されてそれを使用した。

学校から募集があってボランティアとして親が引率補助をする場合(低年齢の子供が公共交通機関を利用したり施設に行く場合は、一定数の大人が引率する必要があるため、保護者のボランティアが募集された)、参加費は実費を子どもと同じに払い、交通費はトークンを渡されていた。中学校以上については引率が必要ないのではっきり覚えていないが、全員が学校から現地に行く場合は交通費を参加費として徴収されていたかもしれない。

さて、本題の部活動だ。同じ課外活動である部活動については、交通費は支給されていない。小学生は基本的に先生や保護者が車で送迎したからだ。中学生以上は参加する生徒が自己負担、私のように自分の子供を送迎しがてら乗れるだけのチームメイトを乗せて、後は先生の車に乗せてもらう、運転免許を持っていたら自分で運転していく、公共交通機関を利用するなどだ。

それ以外にかかる費用として考えられるのは、用具、ユニフォーム、施設使用料、大会などの参加費などだろう。このうち、ユニフォームは学校の備品を使用し、施設費や参加費は保護者が負担した記憶はない。

ユニフォームはサッカー、フリスビー、ソフトボールなどの軽い種目や低学年は私服の上に「ビブス」(注1)を着るだけ。アイスホッケーはジャージーと言われる上に着るユニフォームとストッキングがチームの色で統一されたユニフォームで、スティック、スケート、ヘルメット、ジャージ以外の防具類は個人負担だった(注2)。

アイスホッケーはカナダでは国技でありヨチヨチ歩きの頃からほぼ全ての子供が経験しており、学校の部活動でやりたいくらいの子供は自分用の一式を持っているのが普通なのだ。野球のグローブやバット、ヘルメットはチームでも少し備品があるが、チームメイトの物を使いまわして使っていた。

面白いことにうちの場合、高校のキャッチャー道具はキャッチャー経験者が自己負担だった。身に着ける物だからだろうか。ボールやフリスビーディスクなどは学校の備品なので、バレーボールの試合に行くときはボールを誰の車に乗せるかで生徒の席が足りなくなったりした。

 これ以外に高学年になると、チームでTシャツやトレーナー、パーカーなどをお揃いで作っていた。安くチーム名や名前を入れてくれるメーカーがあるらしく、チームメイトや先生がデザインしたり、名前をニックネームにしたりと、チームの一体感が一気に増すし、楽しみでもあり、記念にもなっている。

チームが活躍すると学校のニュースレターや朝礼で紹介されるため、チームのシャツを着て校内を歩いて注目されるのもうれしかったようだ。1着10〜20ドル(1ドルはほぼ100円)で、子どもたちの自分のお小遣いで賄える額だった。揃いのトップスは全ての部活動で作られていて、Prefectと呼ばれる生徒会もその年度の数字の入ったトップスを着ているのをよく見かけた。(続く)
1.  https://bibs.jp/about/
2.  アイスホッケーに必要な用具一覧 https://en-hockey98.com/ice-hockey-item

※鈴木典子さんのブログです。
https://thegroupofeight.com/category/writers/%e9%88%b4%e6%9c%a8%e5%85%b8%e5%ad%90%e3%80%80noriko-suzuki/
※本連載記事「カナダトロントの部活事情」についての、ご意見、ご感想、質問等は、info@bukatsu-japan.comまで、お待ちしております。


今回もご高覧ありがとうございました。
部活研はこれからも具体的に行動します。
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