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配信日:2021/09/10
部活研通信:「 部活動の“地域展開”を考える時間 」等
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2021.9.10 配信 Vol.70>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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新学期が始まりましたが、新型コロナの新たな株が若年層に広がりそうだという報道もあり、学校現場では一層対策に神経を使う日々だと思います。この状況が一日も早く解消され、平穏な日々が取り戻せるよう心から願っております。

先月号から新連載記事「カナダトロントの部活事情」が始まりました。ご質問、ご感想を受付けています。
そして、今回も部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎部活研通信、一般会員入会のお願い
一般会員になることで、「当協会主催の研修会への参加料金が割引になる」などのサービスを受けることができます。当協会の目的にご賛同いただける方は、
本協会ホームページよりお手続きをお願いいたします。

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心が変えるとっておきの話
【2】部活News
【3】部活研主催研修会の情報「スポーツビジョントレーニング基礎講座」
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】学生団体Teacher Aide主催「 部活動の“地域展開”を考える時間 」に参加して
【6】新連載記事「カナダトロントの部活事情」(2)

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心が変わるとっておきの話
■技術の上達の多くは、練習中ではなく休憩中に起きている
今年の6月にアメリカの国立衛生研究所(NINDS)の研究者グループが興味深い研究論文を発表しました。

さて、実体験として、難しくて投げてしまった部分を、トイレから戻ってやってみるとすんなり出来てしまったという経験はありませんか。

似たような現象を、何となく感じている人は多いようですが、そのメカニズムは明らかにされていませんでした。この研究は、その解明を試みたものです。

実験の内容は、個人の能力差の影響を最小限にするために出来るだけ単純な作業を被験者に課すことで実施されました。与えられた課題は、4種類の数字キーに対して、指定の5桁の数字を打ち続ける課題でした。

10秒間、出来るだけ早くキー入力をして、10秒休むというパターンを35セット行ってもらい、その間の被験者の脳活動を測定しました。すると意外な結果があらわれたのです。

キーを打つ回数が、練習中は、ほぼ横ばいなのに、休憩後の測定から急激に増えていることがわかったのです。このことで休憩による上達効果が証明されたと研究グループは見解を示しています。

そして、35回の休憩のうち最初の11回が伸び幅が大きいという結果になったとのこと。これは上達の度合いが初めは大きく、繰り返すほど緩やかになるということのようです。この辺は日常的な経験則と一致します。

気になるのは、休憩中に脳内で何が起きているのかです。

そこで、被験者の脳波を調べてみると、どうやら休憩中の脳内で練習していた動作が、練習中の20倍という超高速で繰り返し再生されていたことが判明しました。そして、興味深いことに、脳内での高速再生の回数が多い被験者ほど、休憩後の上達度の跳ね上がりが大きくなっていました。

つまり、上達の個人差は、休憩中に起こる高速再生の回数に依存しているということになります。更に、追加の実験によると、休憩中の高速再生が行われているのは脳の「感覚運動領域」、「海馬」、「嗅内皮質(きゅうないひしつ)」の3カ所であることも判明します。

この論文では、休憩に入ることで、これら3カ所の脳領域が緊密に情報交換を行い、練習内容の圧縮・統合することで、上達効果をうみだしていると結論づけていました。

この結果から、ただ単純に練習を長時間続けることが、いかに非効率的かがわかると思います。この研究では、数日間の休憩の効果にも言及しています。365日活動をしている部活動の指導者は、情報のアップデートをお願いしたいところです。

※元論文
https://www.cell.com/cell-reports/fulltext/S2211-1247(21)00539-8?_returnURL=https%3A%2F%2Flinkinghub.elsevier.com%2Fretrieve%2Fpii%2FS2211124721005398%3Fshowall%3Dtrue

【2】部活News
○パラリンピック学校観戦どうなる 子どもの感染増、部活中止、夏休み延長だが
https://www.j-cast.com/trend/2021/08/24418827.html
(j-castトレンド)

○内田良『部活動の社会学 学校の文化・教師の働き方』 制度及ばぬ部活、魅力が過熱に
https://book.asahi.com/article/14423797
(朝日新聞)

○三重県で月曜日最多の268人の感染確認 屋内スポーツの部活で高校生15人感染しクラスター認定
https://www.nagoyatv.com/news/?id=008472
(メーテレ)

○部活動 中学4割、高校7割が「時間超過」 実態調査で
https://www.news-postseven.com/archives/20210821_1684190.html
(NEWSポスト)

○「甲子園」はもうやめよう。高校野球のブラック化を食い止める方法 高校野球改造論
https://real-sports.jp/page/articles/261775534126531741
(realsports)

○コロナで部活禁止 合唱部が大会出られず県に出場要望書 青森
https://mainichi.jp/articles/20210907/k00/00m/040/038000c
(毎日新聞)


【3】部活研主催研修会の情報「スポーツビジョントレーニング基礎講座」
「部員のパフォーマンスを最大化するスポーツビジョントレーニング基礎講座」
<講師>都築 朋秀
海老名市ソフトボール協会 常務理事
日本スポーツビジョン協会 ビジュアルリアクションアドバイザー
日本スポーツ協会 公認スポーツ指導者 
ソフトボール指導員コーチ1
指導歴:公立中学校ソフトボール部 13年

<内容>
スポーツビジョンの目的は、スポーツ選手の視覚力や視覚と身体機能の結びつきを最大限に発揮させ、運動機能を向上させ、最高のパフォーマンスを発揮させること、そしてより良い競技成績を獲得しようとすることです。(日本スポーツビジョン協会HPより抜粋)

本研修では、部活生のパフォーマンスを最大化させるためのスポーツビジョントレーニングの基礎知識をお伝えするとともに、部活動で取り入れることができる簡単なトレーニングを体験していただきます。

今回の研修は、部活動指導に興味のある方は、どなたでも参加できます。
何より生徒が生き生きと活動出来る部活動運営のための研修会になればと考えております。
◎本研修は、部活動認定3科目のなかの「指導分野専門科目」に該当します。
<詳細>
2021年10月9日(土)19:00〜21:00
会場:オンライン会議「ZOOM」
※「zoom」というビデオ会議アプリを使います。サインアップは無料です。
ダウンロードはこちらから
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html

参加費:部活動指導員3,000円 
講義「部員のパフォーマンスを最大化するスポーツビジョントレーニング基礎講座」2時間、

◎申し込み先
https://kokucheese.com/event/index/615246/
◎お問い合わせ先
shin.nakaya@bukatsu-japan.com

※受講希望の方は画面下「お申し込み」をクリックして申込みフォーム画面から必要事項をご記入下さい。
※申込みの際、受付確認用のメールアドレス(携帯メール不可)をお知らせ下さい。
※参加費(3,000円)の振込が確認できましたら正式に申し込みが完了となります。その後、研修会1週間前までにオンラインセミナー参加に必要な情報をメールにてお知らせいたします。
※ご入金後のキャンセルは出来ませんので、ご注意下さい。

【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
9月18日(土)、10月16日(土)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
9月26日(日)(9月16日締め切り)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/


【5】学生団体Teacher Aide主催「 部活動の“地域展開”を考える時間 」に参加して
8月25日にZOOM会議にて 、学生団体Teacher Aideの主催によって「 部活動の“地域展開”を考える時間 」というテーマで公開研究会が開催されました。

本研究会は、教員の意識改革・教育を社会の関心ごとに・愛あるコミュニティの想像、この3つをコンセプトを掲げた学生団体Teacher Aideが主催する部活動の問題を考える研究会でした。

以下、印象に残った発言をダイジェストとしてまとめました。
冒頭、代表のじんぺーさんの挨拶から始まり、続いて登壇者の発表がありました。
※学生団体Teacher AideのHP
https://peraichi.com/landing_pages/view/teacheraidekyoto

■登壇者発表
●神谷侑樹(茨城部活動問題対策委員会代表)
・ここ10年、部活動問題の記事が増えた。だいたい2010年代前半くらいから体罰の問題、後半から労働問題が加わった印象。
・学校現場で、顧問選択権を追求をしている。なぜなら、労働には対価があり、その要求は権利だから。
・必要なのは抜本的な環境改善で、具体的には思い切った業務削減が必要では。
・今後、「地域部活動」をどうするかが大きなポイントになる。
・学校部活動を担う主体は、そもそも誰なのか。地域に展開しても、結局、学校で担うという結論になるのでは。
・地域展開した場合、人材不足の懸念と双方の連携上の課題がネックになってくる。
・部活動ではなく、地域活動という名前にすべき。
・ある程度、地域の主体性に任せるかたちが将来を見据えた地域移行になる。ひいては、地域の活性化につながる。

●長沼豊(学習院大学教授)
・今やっている部活をそのまま移行するという意味に誤解されるので、地域移行ではなく、地域展開という言葉の方が適切だと考える。
・目指すところは、持続可能なかたちで、卒業しても部活を続けられるかたち。在学中の引退はナンセンス。
・文科省が2021年9月に発表した内容について、週末だけの規制は現実的ではない。平日はどうするのか。
・スムーズな地域展開のためには、合同部活動と拠点校方式を念頭にすべき。
・自分の学校以外での部活動の場面が増えるので、当初は子供たちに移動に慣れてもらう必要がある。
・部活の目的を改めて設定。今までは、同じ目的に向かっていたが、ゆるい部活動もあったり、本格的な部活動もあったり、同じことを一緒にやりましょうという発想を変えるべき。

●八重樫通(矢田部東中学校長)
・「学校文化」という「パンドラの箱」を乗り越えた議論が必要。
・日本の教員は、他国に比べて、年間勤務時間数は多いが、年間授業時間数は少ない。
・財務省が言ってること。
(1)日本の教員の持ち授業時数は少ない。部活動を含めた業務の適正化を指摘。
(2)部活動の時間が多いから、そこを改善するべき。
(3)人員を増やす前にやるべきことがある。人を増やすことが答えではない。
・給特法を知っている教員は実は少ない。部活動問題への認識にズレがある。
・学校とは別に、市民団体を立ち上げて、受益者負担で指導を受けている。
・部活動の割合を減らして市民団体による活動を増やした。
・地域のスポーツクラブの協力を得た。
・この部活動の問題は、複線化してアウトソーシングを活用して取り組むべき。例えば、地域部活動、代替活動、学校部活動の3タイプの活動を平行して走らせる。
・どうしても教員の兼業制の活用は、大きな前提となる。
・文化なのか商業サービスなのかという問題は、学校と地域スポーツ企業の関り方の議論になる。
・実は、教員には、部活をやりたいという教員は意外と多い。その事を踏まえる必要がある。
・実際、教員の仕事の評価基準は、明確でないという特性があるが、一方、部活動は仕事の成果が目に見えるし、ある意味分かりやすい。
・部活動の指導者報酬を税金で賄うのは難しいので、世の中のあぶく銭を活用しようと声をあげている。


■パネルディスカッション
◆神谷:地域展開した場合、最終的にどこに責任が行くのかが疑問。学校なのか、自治体なの、地域団体なのか。

◆八重樫:法的には、校長が認めなければ部活について止めること、又は少なくすることは出来る。やるやらないの権限は校長にある。まず、現場からボトムアップで、現場を反映した活動で、施策を動かす、その結果、物事を動かすことが出来ると考えている。何かポジティブな動きをしながら世の中を変えることは出来るのでは。

◆司会:矢田部東中の取り組みについて、他の学校は?

◆八重樫:3校がやっている。あと2校が加わる予定。教育委員会に向けて合意形成をして確実に動いている。

◆長沼:出来ることから出来る立場でしていくのが改革の基本スタンス。どんな改革も反対はある。反対の意見をくみ取りながら進めないと、必ず歪みがでる。最終的には、60年で作りあげた仕組み、コンクール、大会の仕組みを変えないと。

◆司会:顧問拒否の行動のしわ寄せにどう考えるか?

◆神谷:法律的に認められた権利なので、個々の誰が負担するかという問題ではない。しわ寄せにならない環境づくりを県が作るべき。何であの人が、、という話にならないように。

◆司会:矢田部東中の取り組みについて、教員や生徒の反応は?

◆八重樫:先生方は賛成している。子供たちは8割が充実してると回答、保護者も支持している。結局、部活動改革の向かうべきところは、先生たちのやりがい確保では。

◆長沼:部活をやらない宣言は少数です。とは言え、部活の数を減らすことは少子化の流れで避けられない。今は、教員同士が首を絞める仕組みになっているので、学校だけでなく地域を巻き込んで話を進めるべき。

◆司会:兼業についての考えは?

◆八重樫:今、現在、兼業届を出している教員は1人。年間数十万円の収入。学校内指導は減らしたが、学校外で指導しているので指導時間数は変わらない。やはり、財源が大変だと思う。受益者負担と補助金をどういうかたちで導入するか。
やはり、指導者には指導費を払う必要がある。その前提には保護者の反対もあるかも知れない。方法としては、企業支援も期待できる。いろいろな形で調達する方法はある。しかし、人の確保はもっと大変だと思う。

◆司会:問題は多いが、、

◆八重樫:しばらくは教員の兼業で人材を賄うしかない。12万の部活をカバーできる指導者を探すのは至難の業。

◆神谷:人を集める責任は学校なのか。

◆長沼:教育委員会が音頭を取っている場合もある。現状では、学校推薦で教育委員会が認める手続きが多い。

◆八重樫:指導者育成の仕組みを作るしかない。筑波大では、企業がスポンサーとなってプランを進めている。やはり、大学生では安心できない。やりたい人に適正な対価を払って指導する仕組みは必要です。

◆司会:全国的な仕組みが必要では。

◆長沼:サッカーなど先進的な取り組みがあるが、競技別の団体が指導者ライセンスを作るべき。それと、全国共通して学校単位での参加資格にこだわると広がらないので、中体連、高体連との話し合いが必要。スポーツの場合、どうしても大会を目指すので。学校部活の大会のかたちを変えること、これこそがたいへんな意識改革。

◆司会:最後に一言。

◆八重樫:部活動は、文化なのか商業サービスなのかという視点で考えて欲しい。部活が教育でないなら、学習塾が学校でやっていいということになる。

◆長沼:私学のモデルを参考にいろいろなゴールを見据えて改革を進めていけば良いと思う。



【6】新連載記事「カナダトロントの部活事情」(2)
&#12316;日本とカナダ、異なる環境のなか3人の野球少年の母親が見たものは&#12316;

・筆者より
私は2007年3月末から2016年1月まで約9年間、夫の赴任に伴いカナダのトロントで暮らした。日本の学齢で小4終了、小学校卒業、中学校卒業した時点で移転した3人の息子は、現地の公立学校の教育を受け、カナダと米国の大学に入学した。移転して家を決める前に野球チームを決めたほど野球バカの一家だが、東京の少年野球チームや中学の野球部での経験が、英語もろくにできない子供たちがスムーズに現地になじむ大きな力になってくれた。

 一方、冬の寒さと降雪の厳しい現地では、野球は夏季限定のスポーツだが、そのことが逆に日本では経験できないようなスポーツや学校でのクラブ活動を経験することができた。今回、本メールマガジンで、カナダ・トロントの部活動事情をご紹介させていただけることとなった。10年以上前のことなので、現在はだいぶ変わっているかもしれないし、記憶が間違っていることもあると思うし、あくまで一保護者の狭い経験に基づくものであることは、あらかじめご理解いただきたい。

《運動部への参加と保護者・教師の関わり》
前回大事なことを書き忘れたが、学校の運動系クラブの活動は「通年ではない」。冬季−30度になることもある気候が許さないせいもあるが、大会が開催される学期毎にチームが結成されて練習が行われ、大会が終わると解散される(注1)。

日本の部活動との最も大きな違いは、複数のクラブに参加できることだ。文科系と運動系の同時参加はもちろん、複数のスポーツを行うことも自由で、1年に5〜6種類の種目に参加する生徒も稀ではない。

参加校や希望する生徒が多いスポーツは、大会自体が高学年と低学年に分かれていることが多い。また、2チーム登録することも可能な場合が多い。トライアウトで合格して真面目に練習や試合に出席すれば、必ず出場できる。

メジャー(規模が大きい、歴史が古い等と思われる)な種目は複数同時に所属できない、成績が悪い場合は出場停止等、参加に制約を設ける学校もあるが、学業よりスポーツが得意な生徒にとってはいくつもの部に参加して成果を出すことができれば、学業同様に表彰されたり認められたりする好機である(注2)。

チーム組織は、顧問の先生が活動への参加案内(課外活動参加承諾書)を生徒に配布し、未成年の場合は保護者の承認が必要だ。その様式で、保護者は承認とあわせて、ボランティアでの協力を申し出ることができる。(注3)。

毎年、顧問の先生の異動に伴い、新しいクラブが発足したり、活動が停止する場合も多い。息子の高校では我が家が転入する前年までOBAで連続優勝した実績のあるチアリーダー部が、顧問が転出したため廃部となっていた。教員のストライキが実施され時間外の課外活動がボイコットされた年は、一切のクラブ活動が行われず、学業よりスポーツや芸術・音楽を得意とする生徒たちの活躍の機会が失われたが、保護者からのクレームは全く聞かなかった。

先生方は各自が経験者や好きな種目の顧問をしているように見受けられた。上述のように、選手も都度変わるし、歴史がある部だからと言ってとにかく存続して優勝を狙わなければならないわけではない。日本で言われるように、若い先生が未経験の運動部の顧問をさせられるなどということは無かった。

試合が時間中に行われる場合は、別のクラスの担任や同じ教科の先生が代講をするか、休講もある。ほとんどの部で複数の先生が顧問になっているため、授業や教務での都合をうまくカバーしていたようだが、練習や大会中に空き時間があると、テストの採点をしたりする様子を散見し、いずこの先生も大変だなぁと思った記憶がある。

部活動は学校を代表してする課外活動で、好成績はバナー等で表彰されるし、新聞やタウン紙等にも掲載されるが、日本のように優勝に向かって1種目に集中して3年間死に物狂いで活動するのではなく、短期集中、皆競技を本当に楽しんでいる。

我が家の野球のように学校外でクラブ等に所属している子は頼りにされて活躍できるが、そうでない子も必ず出場でき、平等に扱われる。高度な技術や成績は学校外で追及できるため、学校の部活動は純粋に「楽しみ」だ。逆に好きな競技でも、短期勝負で選手の競技人生などは考慮されないため(例えば野球の投手の投球数制限等は全く無い)、部活動には参加しないという子もいる。 (続く)

注1:大まかに9月〜12月の秋冬季、1月〜3月の冬春季、4月〜7月の春夏季、または前後期の学校の学期にあわせて開設されるが、1月に試合の始まる水泳等、前の期に練習が始まる部活動ももちろんある。アイスホッケー、水泳が冬、野球、テニス、サッカー、フリスビーが春夏(秋冬はバスケ、バレー等だったかと思うが、失念した)など。
注2:特に、学年末に学校の体育委員会(体育担当等の教師と体育委員による)の総会で「Athlete of the Year(当年度最優秀選手)」に選出されると、トロントの新聞に写真入りで掲載され、年度末の表彰式で表彰され、校内に名前を刻印したプレートや写真が掲出される。
注3:遠足、社会科見学、発表会を含む全ての課外活動に参加する場合に使用する様式。校長の名の下に顧問、担任など、活動の責任教師が署名して発行する。承認するのは活動内容、日時・期間、活動場所、移動方法、緊急時は病院などに搬送すること等で、トライアウト(選抜テスト)、練習、試合については場所などが異なる場合、都度承認をとる。年齢が上の場合は現地までの移動を各自の責任で行うことも承認を求める。ボランティアでの協力内容は、自家用車での送迎、公共交通機関への同行、試合の記録、コーチ等。ちなみにオンタリオ州では18歳で成人となる。

※本連載記事「カナダトロントの部活事情」についての、ご意見、ご感想、質問等は、info@bukatsu-japan.comまで、お待ちしております。


今回もご高覧ありがとうございました。
 部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
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http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

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