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配信日:2021/07/10
部活研通信:部員の心が変わるとっておきの話
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称:部活研)
「部活研通信」
"役立つ研修情報や部活動関連の情報をお送りします!" < 2021.7.10 配信 Vol.68>
info@bukatsu-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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今年の夏も暑くなりそうです。コロナ対策だけなく、熱中症対策も忘れずに夏を乗り切りましょう!

さあ、今回も部活指導関連の情報をお届けします。
生徒のやる気のきっかけに活用出来るとっておきの話もあります。
☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎部活研通信、一般会員入会のお願い
一般会員になることで、「当協会主催の研修会への参加料金が割引になる」などのサービスを受けることができます。当協会の目的にご賛同いただける方は、
本協会ホームページよりお手続きをお願いいたします。

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心を変えるとっておきの話
【2】部活News
【3】研修会「文科省と現役顧問が考える部活動理想像のズレ」の報告
【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
【5】指導者の人材の配置が課題
【6】公式テキスト「部活動指導・運営ハンドブック」について書評

文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心を変えるとっておきの話
〜大谷選手が敢えて心がける習慣の理由〜
先日あるテレビ番組で、只今大リーグで大活躍の大谷翔平選手が、マウンド上及びバッターボックス内でやっているある動作について話題にしていました。

両方とも何かを拾う動作のようでした。集中しなければいけない場面で、いったい何をやっているのだろうと思いました。さて、何をしていたのでしょう。

答えは、「ゴミ拾い」でした。と言っても、ほんの小さな塵程度のものですが。本人曰く、「運を拾うというゲン担ぎです」とのこと。

以前、花巻東高校時代に大谷選手が書いた目標達成表というワークシートのことを思い出しました。その中にゴミ拾いという記述があって、目標達成のためには運が必要で、その運を得るための必要な要素として考えたことの1つが「ゴミ拾い」だったのです。

日常的な細やかな行動や気遣いが、チームのイメージを作り、結果として活動しやすい環境作りに繋がるという考えに基づいた行動と記憶しています。

この考え方は、現在の大谷選手のチーム内での活動しやすい環境作りに通じるものがある気がします。その結果、チームメイトから可愛がられ、みんなが応援したくなる存在になっているのだ思います。

実際に過去に成功した人たちを見ていると、目的にそって合理的にやるべきことだけをやっていればいいというより、実はやらなくてもいいことをどれだけやってきたかが、重要なポイントの様に感じがします。

「何でこんなことしなければならないんですか?」という反射的な反発もよくありますが、実は、それは後からよく考えると、事を上手く運ぶための大事な要素だったりするのです。

秋元康さんが、以前言っていました。成功する人脈とは、ドミノ倒しのイメージだと。つまり、少なくとも身近な人たちを熱狂的なファンに出来ないのなら、遠くにいる多くの人の心を捉え倒すことは出来ないとのこと。

日常の些細な気遣いは、一緒に生活をしているチームメイトや、部活動の仲間ならわかるはずです。それは、面倒な仕事の引き受けだったり、日々の変わらぬ挨拶だったり、溜まったゴミ箱のゴミ捨てだったり、敢えて特にやらなくても済むことで、些細なことですが、こういう周りへの貢献や思いやりを身近な人は見ていて、心から好感を持つのでしょう。

逆に、目立つことばかり好きで、大きな目標を掲げ、立派な言動を目上の人に印象付けていても、身近なスタッフや仲間には自己中心的で無神経な態度で嫌われている人がいますが、残念ながらこんな人には、なかなかチャンスは巡ってこないものです。

たぶん、大谷選手は、ゴミ拾いみたいなことが他にもあって、これは多くの些細な貢献のうちの1つに過ぎないのだと思います。

隗より始めよ。これからも運をいっぱい掴んで、活躍は続くのでしょうね。


【2】部活News
○中1死亡、部活でからかいや胸触るいじめ 学校対処せず
https://www.asahi.com/articles/ASP7176MJP71IIPE015.html
(朝日新聞)

○部活動に外部人材活用 導入2年目小松島中 教職員の働き方改革
https://www.topics.or.jp/articles/-/553374
(徳島新聞)

○高校球児に丸刈り必要? 「伝統だから」「野球に専念を」 自由な学校いまだに少数
https://kahoku.news/amp/articles/20210628khn000042.html?__twitter_impression=true
(河北新報)

○全体練習減らし、米国流データ分析 新しい高校野球の形を模索する福岡・城南高
https://www.nishinippon.co.jp/nsp/item/n/766022/
(西日本スポーツ)

○控え部員、悩みつつ「引退」 監督と電話してあふれた涙
https://news.yahoo.co.jp/articles/e7859fcd3bd8e6485475ad12a2e17782fce21bb3
(朝日新聞)

○柏崎市教育委員会 強制わいせつ容疑の非常勤職員の男を休職処分
https://news.yahoo.co.jp/articles/190171c1a0f137a04e6dc68a9478b5e465540a3f
(新潟放送)

○「入りたい部活」1位は帰宅部 「場所も人もお金も足りてないのに…」令和に“部活動”は必要か
https://news.yahoo.co.jp/articles/452e83721a8a97d68845f26b38cc007baba4c23b
(ABEMA TIMES)

○スクールカウンセラーって何? どう頼ればいいの?
https://news.yahoo.co.jp/articles/2c49d0588e7394a92707b0f6a825d966f337487c
(EduA)

○「教師の勤務時間ダントツ世界一」でも保護者は不信感…教育現場に潜む“4つの大問題”
https://shuchi.php.co.jp/article/8585
(PHPオンライン)


【3】研修会「文科省と現役顧問が考える部活動理想像のズレ」の報告
6月26日の研修会の第2部は、長年に渡りバスケット部顧問として、また高体連バスケットボール部の役員として、部活動指導に携わってこられた都立江戸川高校の奥谷校長と朝日新聞の中小路記者との対談でした。

現在、部活動改革が謳われているなか、一方では、過酷な部活動へのノスタルジック、不合理、理不尽によって得られたメンタルタフネスへの評価など、依然とし根強い評価と価値観があるなか、今後、新しい部活動を探っていくにあたり、それらの価値観とどう向き合って行くべきかについて語って頂きました。

以下、ダイジェストにまとめたものです。

・中小路:部活動改革に様々な取り組みがあったが、その過程における現在地の認識は?
・奥谷:1990年代から、体罰についての意識改革が進んでいたが、桜ノ宮の事件以降、更に新しい体制によって少なくとも有形の体罰は非常に減っている。しかし、乱暴な言葉使いや態度は、まだ残っているのではと認識している。

・中小路:競技者として力量を高めるための、いわゆる合理的な理不尽も必要であり、ある程度仕方ないという意見も根強くありますが?
・奥谷:若い指導者にも理不尽な乱暴な指導法を引き継いでしまっているケースも見掛けるが、選手が自主的な練習をするなかでいくらでも精神力はつくので、選手の人格を否定したり、暴力的な指導で精神力をつける必要は全くない。

・中小路:指導者として、選手に勝たせたかった、強くなって欲しかったという思いがあるようだが?
・奥谷:指導者によっては、子供のためという言葉を盾にして暴力的な指導する場合も見受けられるが、実は自分の名声や学校の名声のためにという意図は否定できない。そもそも短絡的な手段で育った選手は、ある時期からの成長を自分の力で求められなくなる。

・中小路:高体連の取り組みは?
・奥谷:様々な民間団体の研修を利用しているなど、研修を受けなければならないという、そういう状況は広がっている。

・中小路:強引な指導には、進学の問題などを絡めた、保護者の要望という要素もありますね。
・奥谷:この進学の問題については大きな改革は必要だ。勝利至上主義を否定する一方で都立高校の約半数で、スポーツ推進において戦績を評価して合否を決めているという現状もある。

・中小路:スポーツ推薦で入ってきた以上は結果を出さなければならないという歪みはありますね。
次に国の政策と教育現場の感覚のズレについて、お尋ねします。地域など外部との連携が政策として進められているが、現状については?
・奥谷:東京では、まだ、部活動指導員と教員の役割や仕事の棲み分けがはっきり確立していない。外部指導者に教員と同じだけの責任を負ってもらうことに不安はある。従って、依頼するのは、圧倒的に教員経験者が多くなる。

・中小路:具体的にどんな懸念が生じるのか?
・奥谷:お金の管理、個人情報の保護、体罰に対してどれだけの意識をもっているかは、不安材料になる。

・中小路:部活動指導員と顧問教員のパワーバランスは?
・奥谷:競技優先で指導を進めようとすると折り合いがつかないことはある。

・中小路:生徒の指導者への希望も競技優先になりがちの現状については?
・奥谷:生徒も競技力を高めてくれる指導員に期待を持っている。

・中小路>ということは、外部の人材を登用するということは当然必要だが、今の制度を進めるに当たって行政が考える理想と学校内で考えられていることにズレがあるのでは?
・奥谷:現状の制度設計だと人材発掘は難しい。そうなるとリタイアした教員の人材活用が多くなる。

・中小路:今の部活動指導員制度では、人材発掘は難しい。人材難は解決されないいうことか?
・奥谷:人材難そのものもそうですが、財源の問題もある。

・中小路:確かに国からの助成金は、2020年度に打ち切られている。スポーツ庁も取材では、3年間で助成は打ち切られることになっているとの回答があり、その流れで国主導の部活動制度改革が地域主導へ移りつつあるが、どう見ているか?
・奥谷:地域移行への動きは感じられない。地域移行で運営された部活動の実践例を増やす必要はある。

・中小路:今年度から部活動の地域移行の試行的な取り組みが始まって、東京では、渋谷区と日野市に拠点校が置かれている。これからの運用が始まることを前提に、地域クラブに部活動が入っていく、逆に部活動に地域クラブが入っていく動きについてはどう考えるか?
・奥谷:例えば、サッカーでは、地域との取り組みと連携できている。この動きが広がっていけばいいと思っている。

・中小路:部活による多忙について、どのような声を聞くか?
・奥谷:実際には2極化している。かなりやっても苦痛ではない人、そうでない人は確かにいる。経験のない種目の部活を指導しなければならないのは苦痛だと思う。

・中小路:国の進める地域移行への方向性は基本的、評価しているか?
・奥谷:すぐに変わらないかもしれないが、基本的な方向性としては期待している。地域クラブのスタッフとして教員が活動するかたちが望ましいと考えている。

・奥谷:中学校の先生から聞いた話だが、保護者の方に長時間の部活動を望んでいる方もおり、保育と勘違いされている方も多い。その根本にあるものは何か?
・中小路:1980年代に部活動を生徒の管理に利用した経緯が関係するのでは?
・奥谷:自主を育むとか、自分がどうなりたいかの取り組みは、今に始まったことではない。部活動も含め教育活動全体で言われていること。全ての教育活動が、大量生産、大量消費の時代の教育から変わっていかないといけないと考えている。部活とか何かと合わせて、教育活動全体について考えるべきではないか。

【4】部活動指導員検定3級、2級試験実施について
○インターネット受験について、受付をホームページにて行っております。
【受験手順】
受験日を選択→ネット決済システムに登録→受験システムにログイン
→受験日当日(画面解答入力 ※3級の場合は動画講習あり)→1週間以内に合否通知

【検定試験実施要項】
こちらのURLからダウンロード確認出来ます。
https://00m.in/qxiSc

・オンライン検定試験
■3級:オンライン講義の後に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
7月17日(土)、8月14日(土)、9月18日(18)
■2級:公式テキストを参考に画面解答入力 合格基準:正答率80%以上
<予定>
7月25日(日)
■申し込み・詳細
https://bukatsujapan.jimdofree.com/


【5】指導者の人材の配置が課題
協会の確定申告をしてきました。これで中屋がこの社団法人の代表を務めて6期目が終わりました。

昨年より株式会社オモレイ様の協力を得て、部活動指導員検定の実施に踏み切ることが出来ました。感謝しかありません。

お陰様で、検定実施に伴い、研修会の開催も継続出来ています。

まだまだですが、外部指導者と学校教育を繋ぐ役割を少しずつ果たせていると感じています。

部活動改革は、やはり、人材の配置がネックになる気がしています。

自治体ごとのバラバラの対応というより、部活動指導員を国家資格また公的資格として制度化し、きちんとした意識を持った人材を配置するための全国的なガバナンス体制の構築が必要だと認識しています。

我々の活動は先駆的な取り組みになるもかもしれませんが、認知を更に広げ、部活動改革を次の段階に進める1つのきっかけになればと考えています。そのために、更に歩みを先に進めたいと思います。

こらからも具体的に行動します。
引き続きご協力をお願い致します。


【6】公式テキスト「部活動指導・運営ハンドブック」について書評
今年3月刊行の日本部活動学会紀要内の図書紹介コーナーで、当協会監修の公式テキスト「部活動指導・運営ハンドブック」を取り上げて頂き、兵庫教育大学の森田啓之教授より書評を頂きました。
以下、森田先生の書評の抜粋です。

「これまで各自治体レベルで教員や外部指導者向けに小冊子を刊行した取り組みは散見されるが、本書のように必要かつ重要な事項を網羅的に扱ったものは近年では見られない」
「学校内ですべての教職員が共通理解をして取り組むだけでなく、地域関係者と手を取り合いつつ、学校主体で行われてきた部活動から、地域と協働する新たな方向への転換を模索していく必要がある。このような現状を踏まえると、非常に示唆に富む記述が多く見られる。以下、抜粋してみよう。」
「・・(抜粋1)失敗した生徒に対してもどこまでも寄り添い、問題解決の方法を共に探り続けるという姿勢を学校教育に携わる者として常に心掛けて欲しい。・・」
「・・(抜粋2)学校教育の場合は、効率性や合理性よりも、人を育てるという観点がもっとも優先される。つまり、いかに早く習得するか、いかに早く上達するかよりも、いかに人として成長できたかという観点を優先する。そのため、できる生徒の能力を伸ばすことはもちろんだが、その時点で出来ない生徒にも丁寧に辛抱強く指導を続けることが学校教育では重要なことである。・・」
「これらの記述から、部活動が単にスポーツや文化の技能・スキルを身に付けさせるだけでなく、学校教育という枠組みを常に意識して欲しいという著者らの強い思いと願いが感じられる。」

この本の編集に携わった者として、執筆の意図を的確に捉えて頂き、たいへん嬉しく森田先生の書評を拝読致しました。

私自身の経験から、教員時代に思考の半分以上を占めていた部活動のあらゆる場面を思い起こし、実践に役に立つ内容に絞り、かつ陥りやすいトラブルなども想定して、まさに外部指導者だけでなく教員のハンドブックになるようにテキストの執筆に当たったことを思い出しました。

図書紹介が掲載された紀要には、部活動研究の最前線の論説が豊富に掲載されています。
ご希望の方は、日本部活動学会事務局まで問い合わせてみて下さい。
https://jaseca2017.jimdofree.com/%E3%81%8A%E5%95%8F%E3%81%84%E5%90%88%E3%82%8F%E3%81%9B/?fbclid=IwAR0dI5qYypedyWHCE0lNsSerZuhaYuIJ3cP5zFWSQ10LLN6e_38MO3lNz2M

部活動指導・運営ハンドブック
購入はこちら
http://www.otsukishoten.co.jp/smp/book/b497940.html


今回もご高覧ありがとうございました。
 部活研はこれからも具体的に行動します。
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◎協会スタッフ募集のお知らせ
一緒に新しい部活動制度を作りませんか
http://bukatsujapan.hatenablog.com/entry/2020/10/31/131104

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□発行 一般社団法人 日本部活指導研究協会
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