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配信日:2019/08/11
部活研主催の講習会「部活動の歴史を振り返り、部活動の現状と未来を考える」他
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一般社団法人 日本部活指導研究協会(略称・部活研)
「部活研通信」
”部活顧問のための部員の心を変えるとっておきの話" < 1. 8. 10 配信 Vol.45>
info@bukatau-japan.com
http://bukatsujapan.jimdo.com/
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暑さ本番です。周りでも熱中症で体調を崩したという話を多く耳します。
水分補給や十分な休憩など対策は様ざまですが、そもそもの予定を変更する判断も必要なようです。

さあ、今回も部活指導関連の情報をお届けします。
生徒をその気にさせ、背中を押すとっておきの話しもあります。

☆::::::::::::☆ お知らせ ☆::::::::::::☆
◎部活研通信、新規会員のご紹介のお願い
info@bukatsu-japan.com まで、
お名前とメールアドレスを明記のうえご連絡願いします。
件名に「入会希望」とご記入下さい。

それでは、以下、今回の目次です。
☆::::::::::::☆ 目次 ☆::::::::::::☆
【1】部員の心を変えるとっておきの話
【2】部活News
【3】10月部活指導員研修、募集開始!
【4】部活動問題と言われる5つの問題
【5】港区教育委員会を訪問
文責 中屋晋
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以上をお送りします。

【1】部員の心を変えるとっておきの話
〜「日本一を目指す」という言葉〜
サッカーJリーグを創設し、バスケットボールBリーグを改革した川淵三郎氏の講演を聞きました。

2015年、 日本のバスケットボール界が混迷のなかにあって、川淵氏に改革の担い手としての白羽の矢がたちました。

川淵氏は、バスケットボール界の幹部のヒヤリングから仕事を始めました。現状への認識、未来への展望などを聞くなかで、ある質問を投げかけたのでした。

「このままだと海外で活動できなくなります。どう思いますか」

この質問に耳を疑う回答が、日本バスケットボール界の幹部の口から。それは、

「我々は、日本一を目指しいるのだから、海外のことは考えていない」と、

川淵氏は、この声を機に決意を新たにし、改革のための行動をドラスティックに起こす英断することになります。その結果が今日のバスケットボール界の繁栄に繋がっています。

そして、もう1つ優秀な指導者のエピソードを紹介します。
日本代表ラグビーチームに南アフリカチームから劇的な勝利をもたらした名将、エディ・ジョーンズ氏の言葉です。

エディさんが、日本人の勤勉さを強みとして活用しつつ、更にメンタリティーを根本から変えることに挑戦する過程でこんなことを言っています。

「日本の選手たちはこれまで大学やクラブで”日本一”にしか興味がなく、それで満足する、ドメスティックな考え方でした。」と。

果たして、この二人の指導者に共通する胸の内は、いかようなものであったのか。それは、日本一を目指すということで、思考の幅を狭めているのではないかということ。

つまり、国内限定で通用する戦術への意識の偏り、短期間に結果を出さなければというプレッシャー、旧態依然とした組織内のこだわりによる閉塞状態、
これらから派生する弊害に対する危惧だったのだと思います。

これらは、最終的には選手育成するうえで大きな障害に繋がり、ここまで日本スポーツ界の可能性をどれだけ摘んで来たことか、ここで基本的なパラダイムシフトをする必要があるのではないでしょうか。

今、新しい世代の日本人トップアスリートは、確実に大きな視野をもって挑戦を始めています。そして、指導者の意識も変わりつつあります。

7月25日全国高校野球、岩手県大会の決勝戦に理性的に決断した大舟渡高校の国保監督の行動を称えたいと思います。


【2】部活News
○《部活が変わる 吹奏楽部は今》“ブラック部活”とささやかれ… 大会過密「見直しを」
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190730-00010001-jomo-l10
(上毛新聞)

○菊池雄星が語る“100球”の理由。「球数を投げる時期は20代半ば」
https://number.bunshun.jp/articles/-/839909?page=1
(NUMBER WEB)

○高校の野球部員が減少する一因?「選手が主役」を取り戻すために。
https://number.bunshun.jp/articles/-/839968
(NUMBER WEB)

○高校球児のスポーツ推薦に潜む危険。自分の進路を決められない選手たち。
https://number.bunshun.jp/articles/-/839940?page=1
(NUMBER WEB)

○運動部の学生、勉強してる?「試験特別扱い」もある中…
https://www.asahi.com/articles/ASM6K53FLM6KUTQP01S.html
(朝日新聞)

○部活体罰、成人後もトラウマに 暴力再生産の根深い構図
https://www.asahi.com/articles/ASM6Q7J9CM6QPTIL016.html
(朝日新聞)

○教員の勤務時間の国際比較(2018年)
https://tmaita77.blogspot.com/2019/06/2018.html?m=1
(データえっせい)


【3】10月部活指導員研修、参加者募集
7月1日より募集を開始しており、すでに申し込み頂いておりますが、
恒例の部活研主催の研修会を以下の要領で開催します。

「部活動の学校教育における位置づけが曖昧であることは、時間数も際限ないということにつながっている。
オプションである以上、際限なく出来てしまうということでもあるからだ。」
長沼豊著「部活動の不思議を語り合おう」より
http://u0u1.net/IVef
10月の部活研研修会は学習院大学、長沼先生にもご登壇頂き、議論を深めていきたいと思います。
研修会の詳細はこちらから

◆秋の部活指導員研修会について
10月部活指導員研修会「学校教育の一環の部活動指導」
◎講習終了時には、当協会認定の「部活動指導員研修」受講証書が交付されます。
<詳細>
2019年10月22日(火)祝日
会場:東京都立三田高等学校
 参加費 学校教員2,000円  部活動指導員3,000円(当協会会員無料)
1部:13:00〜14:00 スポーツメンタルトレーニング講習 
講師:ココロツクル株式会社 代表 谷野 隆太   
〜自身が持てる力を最大限に発揮するためには 〜

2部:14:00〜15:00 部活動指導のガイドライン解説  
講師:日本部活指導研究協会 代表理事 中屋 晋
〜長年の部活顧問の経験をもとに部活動指導のガイドラインを具体的に解説〜

3部:15:10〜16:10 日本の部活動の現在・過去・未来 
講師:日本部活動学会 会長 学習院大学教授 長沼 豊 
〜部活動の歴史を振り返り、部活動の現状と未来を考える〜
質疑:16:10〜
懇親会 18:00〜

◎申し込み、詳細はこちら
https://kokucheese.com/event/index/570767/


【4】部活動問題と言われる5つの問題
2014年3月から具体的に部活動の問題に取り組みを始め、部活動の関係機関との意見交換、研究会への参加、更に当協会主催の研修会で行われたシンポジウム等の貴重な情報収集の機会を重ねてきました。
ここで部活動の問題を5つに整理してみました。

1、教員の働き方に関わる問題
2、生徒の参加強制に関わる問題
3、学校推薦に関わる問題
4、教育課程に関わる問題
5、スポーツ指導に関わる問題

1、教員の働き方に関わる問題
教員の勤務時間や精神疾患の患者数についての調査からも明らかなように、長時間勤務の状態が現実問題として過剰な負担となって、様々な場面に影響を及ぼしています。
この長時間勤務の中身を分析すると部活動への指導時間が多くを占めていることがわかります。部活動指導のための土日勤務、時間外指導の問題は、今まで当たり前とされてきたことです。
教員は本来は教科指導に力を注ぐべきなのに、部活動指導に時間を割かれ、十分な教科指導の準備も出来ない状態になっています。
残業代もない教員が時間外で部活動を指導していることが当たり前のように行われ黙認されてきたのです。

2、生徒の参加強制に関わる問題
部活動への参加について全員参加という規定はどこにもありません。
ただ昭和40年代に「必修クラブ」というかたちで全員参加のかたちをとった時期があったため、その後変遷の末、平成10年に「必修クラブ」は廃止されたものの、全員参加の空気が根強く残っているわけです。
自主的、自発的な活動と謳われているのですが、本分である教科学習への時間を犠牲にして、休日もなく、連日長時間の練習を強いられる現状があります。
背景には、進路にとって重要な資料とされる調査書の記載内容への影響を示唆しながら、生徒のやる気や意志に基づくものではない参加が強いられています。

3、学校推薦に関わる問題
学校教育における部活動の存在感は、教科活動以上のものがあり、教科活動同等もしくはそれ以上に進路先では重点を置いて評価をしている場合があります。
進路に関わる調査書のなかでは、部活動の全国大会等の活動履歴は大きな評価ポイントであり、推薦基準として決定的な判断に繋がることは珍しくありません。
部活動の参加の如何が調査書の記述に影響があるという根拠のない圧力が、同調圧力を生み、参加することにノーと言えない空気を校内に作ってしまっています。
イジメやパワハラに耐え部活動を続ける背景には、進路に関わる調査書の部活動の記録が大きなネックになっているケースは少なくありません。

4、教育課程に関わる問題
学校の活動を大きく分けると、教科活動と特別活動に分けられます。
教科活動は、国語、英語、理科等々のいわゆる教室等で授業として行われているもの。特別活動とは、文化祭、体育祭、修学旅行等の一般的に授業と言われる活動以外のもの。
学習指導要領では、部活動は教科活動でも特別活動でもありません。課外活動になります。
立ち位置としては、”教育課程に関連付けて行うべき活動”という表現にとどまっています。
問題は、学習指導要領には課外活動の扱いで指導の基準となる記述はほとんどないにもかかわらず、学校教育なかで大きなウェートを占める教育活動になっているということです。
制度設計が曖昧なので、最近までほぼ無制限に活動が出来る状況にあったとも言えます。

5、スポーツ指導に関わる問題
部活動の多くは運動部活動になるので、スポーツ指導との関連で議論になることが多くなります。
部活動の顧問を引き受け、実際に技術指導までする教員でも、スポーツ指導者のトレーニングを受けた経験がない方もいます。
昨今、巷で報道され話題になる体罰、暴言、パワハラ等の問題行動は、スポーツ指導者としての認識不足が原因と言えるでしょう。
養成の仕組みも出来ていないのに、なかには門外漢の教員に技術指導を強制するケースもあり、社会のスポーツ指導者育成のシステムとの連携も必要な時期にきていると思います。
専門の知識を持ったスポーツ指導者が指導に当たることが、生徒の安全を守り、やる気や才能を伸ばすことに繋がるのです。

これら5つの問題を解決するためには、2つの大きな壁があると言われています。
それは、1つは人材の壁です。部活動指導で今まで教員が担ってきた部分を誰かが替わってするならば、その人材をどのように確保するか。
ここには、新しい指導者配置システムが必要でしょう。

もう1つは予算の壁です。部活動の指導を教員がするにしても、外部の指導者がするにしても、それに対する報酬を新たにどう捻出し、確保するか。
ここには、指導報酬を各方面から独自に集め配分する新しい組織を考えてはどうでしょう。


【5】港区教育委員会を訪問
8月6日、港区教育委員会を訪問して来ました。
指導主事の菊池先生と面談しました。

まず、当協会の取り組みと実績を含めて説明させて頂きました。
港区教育委員会としても、部活動の現状に対する新しい対策の必要性を強く感じていらっしゃるようでした。
現状の部活の指導者に対する問題点などについて、生徒や保護者の方々からも意見をお聞きになっておられるようで、特に部活動指導員の指導スキルの向上、維持については、大きな課題意識をお持ちのようでした。

当協会の活動実績を理解して頂き、10月の部活動指導員研修について、港区教育委員会の後援をご検討頂くことと、港区内の中学校へのチラシの配布協力を頂けるとの回答を頂きました

恐らく全国の自治体の教育委員会でも外部指導員の人材確保と研修育成について苦慮されていることと思われます。当協会では、今後も自治体との協力体制を組んで活動を広げていきたいと考えています。

※お願い
自治体の教育委員会をご紹介頂ける方、ご一報下さい。


 今回もご高覧ありがとうございました。
 部活研はこれからも具体的に行動します。
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