公認会計士 中澤省一郎の SS 経営メールマガジン

2021    7 月1 日配信

7/13(火) Web中澤塾開催します。

  「元売 3 社の課題比較 ⇒SS の生き抜き方」

   (1)元売 3 社の KAM の比較 ⇒3 社の今後の課題

   (2) Eneos はギリギリ単独での業態転換が可能

   (3)出光、コスモは再編必至・・・大きい ENEOS 依存

      (4) 「脱炭素加速」で生き残る SS 10 年後、 30 年後

 6/15に開催したWeb中澤塾の一般公開版

  テーマ 「元売 3 社比較から見る石油業界の将来展望」

中澤公認会計士事務所(公認会計士・税理士・不動産鑑定士補・SS経営アドバイザー:中澤省一郎)のホームページです。 (nakazawa-cpa.net)

で公開しています。

6月3日(木)は、緊急開催Web中澤塾でした。

  テーマ「 元売決算公表: 業界再編必須?

       各社低収益化顕著: 台風の目は 出光

こちらは、 レジメにかけなかったことばかり解説 しています。

<6/16以降、今日までの 会員限定メルマガは半月で12本の配信です 。>

7/1  Eneosは、5200億円の巨額繰延税金資産!

6/30  コスモの好収益はENeos依存+7/13(火)WEb中澤塾開催

6/29 出光は大変です!KAM:ニソン債務超過と繰延税金資産=収益性への疑問か?

6/28 脱炭素でぬるま湯から脱衣所へ・あなた、コインランドリーどころではありませんよ

6/25 元売3社比較4(劣後債他):ENEOSの劣後債発行に意味

6/24 請求書の送付及び親子会員制度について

6/23 中計見直しと業態転換

6/22 SSには厳しい結果:事業再構築補助金の採択結果

6/21 元売3社比較2(財務分析と株価分析)・・高配当で株価維持 

6/18 2024年問題が浮上だよ・そして、5月26日は大波が起きた日

6/17 船も「脱石油加速」:ガソリンはしぶとく残ります!

6/16  元売3社比較表1:在庫評価損益と配当等

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<Web中澤塾>

 原則 毎月第2火曜日 14:30~2,3時間です。(Web懇談会含みます。)

 6/3のような緊急開催も随時やってます。

 今後の開催予定

     8/10 (火) 9/14 (火) 10/13 (水) 11/9 (火)


10/13( 水)第2水曜日です。   )    


 Web中澤塾  Liveではチャットで質問できます。

   引き続き Web懇談会開催・・・Zoomで双方向で口頭で質問できます。

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「出光は大変です!KAM:ニソン債務超過と繰延税金資産=収益性への疑問か?」

先週は株主総会が開催され、有価証券報告書が開示されました。

   6/23 (水)出光    6/24 (木)コスモ    6/25 (金)   Eneos

です。

今年から株主総会直後に開示される有価証券報告書の監査報告書に KAM が強制開示になってます。

KAM Key   Audit   Matters )監査上の主要な検討事項>

 昨年:任意開示でしたので、元売 3 社は開示してません。

 今年:強制適用ですので、 3 社とも開示してます。

監査人は  

に該当する場合には、 KAM として開示します。

 

言いかえると

 監査人が「特に怪しい(健全な猜疑心と言います。)」(これは私の表現ですので、誤解を与えるかも知れませんが、・・・判りやすい表現が見つかりません)と思い、重点的に監査した事項ということになります。

 

有価証券報告書の一番最後の

独立監査人の監査報告書」の中に開示されます。

 

結果として

 出光  : (1)   繰延税金資産の評価

       (2)   NSRP (ニソン)への投融資の評価

 コスモ :(1) 繰延税金資産の回収可能性の判断

      (2)カタール石油開発株式会社における生産物分与費用回収権の評価

  Eneos   :(1)チリの鉱山会社での 639 億円の減損損失

       (2)チリの鉱山の全権益取得に関する会計処理

       (3)石油・ガス開発での減損損失

       (4)繰延税金資産の評価

   として、開示されてます。  

 

  出光のKAM の記載は 2 点>

出光の有価証券報告書

00.pdf (eir-parts.net)

 

154 155/161 ページです。

(1) 繰延税金資産の評価

(2) NSRP (ニソン)への投融資の評価

(1) 繰延税金資産の評価=将来の収益性の評価です。>

 繰延税金資産とは「税効果会計」の適用に計上されます。

  問題になったのは、

   ・繰延税金資産の計上額  1075 億円であり、

   ・このうち税務上の繰越欠損金に係 る繰延税金資産を 422 億円

 

昨年の多額の赤字・・・将来、「黒字になれば」法人税等を払わなくていい

  その、将来払わなくていい法人税等の額が 422 億円を繰り延べ税金資産として計上しているのです。

  ここまでは、全く問題有りません。

問題なのは・・・「将来、確実に黒字になるか?」 という点です。

 監査報告書には

  当監査法人は、当該将来事業計画を基礎として見積られ る将来課税所得の達成可能性が繰延税金資産の回収可能性 の評価に重要な影響を及ぼすと判断している。当該将来課 税所得のうち特に燃料油事業が占める割合は高く、「原油 価格及び石油製品マージン(原油コストと石油製品の販売 価格の格差)」の仮定が将来課税所得の見積りに重要な影 響を与える。当該仮定は産油国の動向、地政学的リスク及 び新型コロナウィルス感染症動向等の外部環境の変化によ って大きく変動する可能性があり、不確実性が高いため、 監査上の主要な検討事項とした。

としてます。

    5     将来事業計画に一定のリスクを反映させ、保守的な予 測とした場合の将来課税所得の 感応度分析 を実施し た

 

 その結果として、「 422 億円の繰り延べ税金資産の計上は妥当であると判断した」ことになります。

 

 繰延税金資産に関して 3 社とも KAM で開示されていますので

個別の 3 社の解説が終わったら、 3 社比較(来週の予定)したいと思ってます。

<ニソンに関して:とうとう債務超過です>

出光のニソンの持ち分は 35.1

ニソンへの債務保証

  昨年  2166 億円

         何と 800 億円以上増加してます。

  今年  3000 億円

ニソンは とうとう債務超過 になってます。

  (単位:百万円) Nghi Son Refinery and Petrochemical LLC

              前連結会計年度   当連結会計年度

  流動資産合計         157,902        149,105

  固定資産合計         815,644        720,428

  流動負債合計         238,985        321,729

  固定負債合計        661,020        602,184

   純資産 合計          73,540        △54,380

  売上高            406,986       342,473

  税引前当期純損失      △104,905      △127,826

 当期 純損失         △104,905      △127,826

繰延税金資産の計上をしてないと推定されるので、確実な黒字化の目途は立ってないのでしょう

 売上高減少・・・コロナで原油大暴落だったので、しょうがないか?
 連続赤字・・・赤字は 2 期以上継続していると想像されます。

  とうとう、債務超過に転落

 出光からの貸付金  301 億円

 出光の債務保証額 3000億円

   合計      3301億円・・・・将来の損失予備軍 です。


  ニソンの減損の評価対象資産  何と 7100 億円

  当監査法人は、上記手続により将来事業計画の信頼性を 検証し、 NSRP による固定資産の減損評価が合理的に行われ ているかどうかを確かめた。また、連結財務諸表における NSRP に対する持分法投資損益の計上及び長期貸付金の公正 価値評価が適切に会計処理されているかどうかを確かめ た

 

将来の損失リスクは現状では債務保証 3000 億円+貸付金 300 億円= 3300 億円以上

  昨年から 800 億円の債務保証が増加 していることを考えると

 合弁契約では、 債務保証はもっと膨らむ可能性も存在 します。

(合弁契約に関しては開示されてませんので、よくわかりません。)



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公認会計士・税理士 中澤省一郎

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