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シベリアでマイナス55.1度 来週は日本も大寒波

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
ロシア・オイミャコンの資料画像(写真:ロイター/アフロ)

今季一番、真冬並みの寒気が、来週日本に到来します。北海道では1メートル超えの大雪、京都市などの低地でも初雪となる可能性が出ています。その他多くのところで、初氷や初霜といった冬の便りが届きそうです。

一方、寒気の源であるシベリアでは、すでに驚くような低温が観測されています。

マイナス55.1度

「世界一寒い場所」のタイトルを持つロシアのオイミャコンでは、11日(金)早朝にマイナス55.1度まで下がって、もっとも寒い時期よりも厳しい寒気に包まれました。同地域では気温がマイナス55度を下回ると、学校が休校になるそうですから、子供たちにとっては嬉しい一日となっていたかもしれません。

またヤクーツクではマイナス43.4度と、この時期の最低気温の平均を10度も下回りました。

極寒の景色

これほど寒いと、どんな景色になるのでしょうか。

一般に気温がマイナス15度を下回ると、凍った空気中の水蒸気が太陽に照らされて、宝石のようにキラキラ光る、いわゆる「ダイアモンドダスト」が見られます。マイナス40度を下回ると、氷の霧が発生し、一面ミルクを撒いたように曇り、マイナス50度を下回ると、人の吐く息が耳のあたりで凍って「星のささやき」と呼ばれる、小さな音を発するようです。

(↑世界一寒いオイミャコンの冬季)

予想気温

寒気は来週にかけて南下し、中国北部や朝鮮半島などにも今年一番の寒さが到来します。中国気象局は、全23省中20の省で今シーズン最強寒波に見舞われる恐れがあると呼び掛けています。内モンゴル自治区などではマイナス40度に達する見込みです。

では一体どれほど寒くなるのでしょうか。週末から来週にかけて予想される各地の日最低気温は以下の通りです。

筆者作成
筆者作成

冬本番前の12月中旬にして、この寒さですから、この先が思いやられます。

急な温度変化にご注意

こうして初冬ながら厳しい寒さに襲われる北東アジアですが、つい最近まで記録的な暖かさが続いていました。

モスクワタイムスによると、ロシア北部のベルイ島では、今月1日に日最高気温記録となる1.1度を観測したようです。またロシア最北の港町であるディクソンでは、同日マイナス0.6度となって、こちらも日最高気温を記録しました。

一方、韓国ソウルでは10日(木)に初雪が降りました。KBSによると、これは例年に比べ19日も遅く、観測史上もっとも遅い初雪だったということです。

日本でも、11月は東日本や西日本などで記録的に暖かい陽気が続きました。来週は急激な気温変化となりますので、体を壊さないよう、お気を付けください。

*参考*

気象庁の週間予報のリンク

『NHK気象ハンドブック (NHK放送文化研究所編)/ NHK出版』

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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